「10年ロードマップ戦略」—儲かる工場経営を目指して—第6話 中小現場こその強みはフォローと評価から生まれる

図100

フォローと評価は若手人財に有能性を感じさせる機会であり、経営者によるフェイストゥフェイスの面談は中小現場ならではの強みを生み出すきっかけとなる、という話です。

現場からやる気を引き出すために意識して取り組んでいることはありますか?

若手人材は仕事で何を求めているでしょうか?

 

「現場の自分たちのことを上の人が分かってくれなくて、なんか今一つやる気が出ないんですよ・・・・。」

お客様の現場やかって私自身が勤務していた複数の中小現場の若手人財からこうした類の言葉を聞くことがありました。

現場の若手人財からこうした声が上がって来た時、どのように思われますか?

こうした声が現場から上がってくるときはチャンスと考えたいです。

経営者の想いを理解して儲かる工場経営を実践してくれる頼もしい現場に変わる絶好の機会です。なぜならこうした声を上げる若手人財ほど会社や仲間の役に立つ仕事をしたいと心の底から熱く願っているからです。

こうした現状を経営者が認識した上で経営者の想いを現場へ伝える仕組みを構築できれば打てば響くような熱い現場が生まれます。

日々の仕事は、生活の糧を得るため、家族を養うため、我慢しながら無難にこなせばイイと考えるのも現場自身の職業観のひとつである中で、あえて想いを言葉にするということは、自分の力を力一杯発揮して、上司や仲間に喜んでもらいたいという根本的な想いがあることの証左です。

現場は、特に若手人材は必ずしもお金のためだけに働いているわけではない、ということに気付きたいです。自分はやれるのだという「有能性」は現場の仕事の動機づけとして機能します。

現場に対しては、カイゼンでの報奨金や福利厚生、ボーナスなどで十分に報いているので、ウチの現場では問題はないはずだと判断している経営者は多いと思います。

多くの現場に接してきて、意外と耳にしないのは「ウチの会社の給料は安くて、やってられないですよ。」という言葉です。サラリーマンという立場での一般的な会話でこうしたことが発せられることは当然にありますが、最初に上げた若手人財のような、モチベーションへ影響する困りごととして聞いたことはほとんどありません。

10数人程度の加工職場の管理者時代に唯一「給料が・・・」という声を複数の現場メンバーから聞いたことはありますが、それも直接的な不満としてではなく、職場の見通しが立っていない現状に対する不安から発せられた言葉でした。

その職場での業務実績を見える化し、業務上の目標を明確にする体制を構築することで不安の声も減り、目の前の仕事に目的を持って取り組む雰囲気が現場に生まれました。

現場にとっても給料は当然に少しでも多い方が嬉しいわけですが、意外とこうした外部からの報酬に関する不満を直接的に聞くことは少ないです。

経営者としては、従業員に少しでも多くの給料、地域や業界水準対比で少しでも上回る給料を支給したいと考え、将来的な工場経営を見据えた上で可能な限りの給料を設定していることと思います。

自社工場が置かれている状況などをしっかり伝えていれば、経営者が思うほどに給料の不満を現場は感じていないのではないでしょうか。

それよりも不満の要因になりやすいのは、仕事上の「有能性」を感じる機会が少ない、あるいは皆無に近い場合であることに留意したいです。現場に対して、指示のみ、業務丸投げでは、面従腹背ということになりかねません。そのことに気が付かず、「アメとムチ」の考え方に沿った対応をしていては現場のポテンシャルを十分に引き出しているとは言えません。

特に若手人財にとってはそうです。昨今の調査機関による報告では多くの若手人財が仕事で重視するのは働き甲斐であったり、あるいは自分の能力や才能を伸ばすことであったり、必ずしも高い給料のみを求めているわけでないことを示しています。

そこで、現場から、特に現場の若手人財からやる気を引き出すポイントとして「有能性」に注目します。

具体的は経営者自身によるフォローと評価です。現場は自分の仕事ぶりをトップに見てもらい評価してもらいたがっています。そうでなければ先の「現場の自分たちのことを上の人が分かってくれなくて、・・・・」というセリフは出てきません。つまりこのセリフは不満というより、やる気を出して頑張りたい現場の要望なのです。

経営者が想うほどに現場は自分が人生をかけて働いている会社のトップのことを知る機会が少なくトップのことを知りません。現場はトップの想いを理解したうえで、自分の仕事を会社に役立てたいと考えています。そして、その働きをフォローと評価してもらいたいと考えているのです。

なにせ人生をかけて働く職場として”自分で”選択した会社なのだから、よい会社であるに違いないと考えたい・・・・。

自分の仕事がトップからフォローされ、正当な評価を受けることで「有能性」を感じる機会を持ちます。「有能性」を感じることが、持続するやる気を引き出す原動力です。

トップから「あなたには○○のために、××してもらいたいので頑張ってほしい。」と言葉を直接かけられれば自分は会社の役にたっていると実感できます。その意味で、フォローと評価の仕組みが未整備である中小モノづくり現場では対応急ぎたいです。

仕組みを構築するにもなかなか進めることができないというならば、まずは、トップによるフェイストゥフェイスの面談を全従業員に実施することです。

双方のコミュニケーションを深めることを通じて、多くの気付きがあります。最大の効果はトップと話をすることで現場メンバーがダイレクトに「有能性」を感じることです。

自分はこの会社に必要とされている、と感じることがどれだけやる気を引き出すことに繋がるか。

私も複数の中小製造企業へ転職した際には、トップと話をする機会を得られた企業とそうでない企業がありましたが、どちらの企業で働き甲斐を感じる機会が多かったかは言うまでもありません。

ある程度キャリアを積んだ人間でさえ、自分が所属する組織のトップとコミュニケーションを交わすことがどれだけ「有能性」を感じる機会となったか知れません。いわんや若手人財においてをや、です。

そうしたこと実感して以降、現場の管理者を担っていた時は、年に1回は現場とフェイストゥフェイスの面談を持つことを実践しました。

こうした対応が後日、

・現場へ指示を出した時にこちらの意思が伝わりやすくなった。

・現場から情報が上がりやすくなった。

こうした効果になって現れました。

モノづくりの現場を持っている経営者は大変忙しいです。社内外での仕事で多忙です。多忙であることを前提でもなお、現場とのフェイストゥフェイスの面談の実施をお勧めします。

一人20分の面談をするとして3名で1時間です。1日1時間の面談日を設けるとして、年間50日分で計画すれば、年間150名の面談は可能です。さらに100日分で計画すれば年間300名の面談は可能です。

現場のやる気を引き出すことは儲かる工場経営では重要課題のひとつです。継続して取り組むことで大きな効果の出すことが可能な業務であると考えています。

従業員が数千人、数万人存在する大手企業とは異なり、トップと現場が意思疎通を通して、現場メンバーが有能性を感じ、やる気を引き出せるのは中小製造業ならではの強みです。中小現場の柔軟性や小回り性が大手よりも高いのはこうした強みがあるからです。

さらにコア技術を磨き続ける原動力も、こうした一人一人が有能性を通じて感じる働き甲斐から生み出されます。有能性を感じる機会を現場へ与えることはモノづくりのあらゆる場面でプラスに作用します。

そう考えると、経営者によるフォローと評価の重要性が理解できます。計画的に一人20分面談を全従業員に実施する時間を経営者が生み出すことは難しいでしょうか?

実施することで大手企業にはない中小モノづくり現場ならではの強みが強化されます。

フォローと評価は経営者にしかできない極めて重要な業務の一つと考えています。

有能性を感じる機会を創出するのが目的です。

どこの現場にも存在している意欲ある若手人財のやる気に火をつけます。

経営者の意欲は即、若手に伝わります。

 

まとめ:フォローと評価は若手人財に有能性を感じさせる機会であり、経営者によるフェイストゥフェイスの面談は中小現場ならではの強みを生み出すきっかけとなる。