「10年ロードマップ戦略」—儲かる工場経営を目指して—第25話 カイゼン・・・活動が始まる前に勝負は決まっている

カイゼンを儲かる工場経営に繋げたいと考えるなら、カイゼンのやり方も変えねばならない。カイゼンのテーマ選定方法は肝のひとつである。流れに着目して”ムダ”を探すため、全社を挙げて”赤札作戦”を展開する、という話です。

 

 

「現場活動を活性化するために、改善テーマの選定を現場へやらせています。活動のレベルを上げるため改善テーマの選定にもう一工夫をしたいと考えています。」

ある金属加工業の経営幹部の方の言葉です。その方は工場長クラスの方です。頻繁に現場へ足を運んでは現場で改善すべき点を指摘しています。そして、指摘されれば現場も取り組みます。

しかし、残念ながら、儲かる工場経営に繋がっているかどうか今一つ実感が沸かない・・・・・・。だから改善テーマの選定の仕方にも工夫が必要だとその経営幹部の方は感じていました。

 

 

これからのモノづくりでは、カイゼンのスキルを高めることも必要です。5年先、10年先を見通すことが難しくなり、不確実性の高まる業界で生き残るための課題です。

カイゼンを単なる教育手段と考えるならば、従来のやり方でもイイかもしれません。

チームで議論してテーマを選定し、PDCAを回しながらゴールを目指す。こうした活動を通じて現場は多くのことを学びます。ですから、カイゼンの活動自体に意味があるという考え方が成り立ちます。

教育的な観点です。

しかし、カイゼンを儲かる工場経営に繋げたいと考えるなら、カイゼンのやり方も変えねばなりません。

個別工程毎のテーマでは工場全体に貫くモノづくり連鎖の機能向上にはつながりにくいです。ですから、テーマを完遂してもそこから得られる満足感は限定的です。

整理のために現場へ棚を作らせたはいいが、かえって現場が狭くなったかもしれない・・・。部分最適視点のテーマは、必ずしも全体最適ではありません。

従来のテーマ選定のやり方では、活動が始まる前に、すでに勝負あり!!ということかもしれません。

活動を完遂した時の達成感が十分にあり、成果が工場全体に波及するようなテーマを見極める力が必要となってきます。

そこで、カイゼンを確実に工場経営の変革に結びつけることを考えるのです。

これからのカイゼンでは、活動の成果が儲かる工場経営に繋がり、さらにはイノベーションを起こすことを目指します。

カイゼンを経営問題解決の手段と位置付けます。

カイゼンをイノベーションへのトリガーとします。

個別工程毎に棚を作ったり、床にペンキを塗る等、部分最適で現場の整理、整頓の水準にとどまる改善活動から卒業するのです。

そのために経営者も現場もカイゼンのスキルを向上させます。カイゼンのテーマ選定方法は肝のひとつです。

いかにして、儲かる工場経営につながるカイゼンのテーマを選定するか?

いかにして、イノベーションへのトリガーとなるようにカイゼンのテーマを選定するのか?

このテーマ選定は現場のみならず、経営者にも必要なスキルとなります。

 

 

 

カイゼンで重要なのは現場の自発性、自律性です。

先の経営幹部の方の「現場活動を活性化するために、カイゼンテーマの選定を現場へやらせている。」というアプローチは正しいです。

自ら取り組むべきテーマを自ら考えるからこそ、やる気が出ます。仕事の進め方を自らの意思で考えるからこそ、達成感も感じられます。

経営者の指摘を参考にしながらも、現場独自でテーマを考えることが重要です。

しかしながら、そのテーマ自体が、経営者が考える経営課題と一致していなければ、成果が利益に繋がる実感がしません。

また、そもそも、設定された経営課題が、新たな付加価値を創出するのに的を射た適切な課題であることも、当然に重要です。

 

 

ですから、カイゼンで取り上げるテーマは経営課題や経営者の考える長期計画に沿っていることが必要なのです。

1)経営課題と現場が感じている問題とが一致していること。

2)経営者が考える経営課題の必要性を現場も実感できること。

3)経営者が気が付いていなかった問題も経営課題として取り上げること。

カイゼンで取り上げるテーマは、これら3項のうちのどれかに属していることが望ましいです。

儲かる工場経営につながり、イノベーションへの起爆剤になるようなテーマを選定するには、そのスキルを高める必要があります。

カイゼンのテーマ選定を現場に丸投げではダメです。

カイゼンテーマ選定のスキルに注目します。

 

 

そして、カイゼンのテーマを選定する時の着眼点は・・・・・・・・・・。

現場の”流れ”です。現場の”流れ”に着目して、カイゼンのテーマを検討します。経営上の問題は、現場の”流れ”に表れてくるからです。

モノづくりの現場では2つの流れに着目します。”モノ”の流れと”お金”の流れです。

現場でモノがドンドン流れ、お客様のところへ短時間に製品が届くこと。そうして、投入された経営資源がドンドンお金として回収されること。

これが望ましい、目指すべき工場経営の姿です。

ですから、それに反していれば”ムダ”が発生しています。つまり、”停滞”や”滞留”しているモノ、あるいは”放置”されているモノは全て”ムダ”です。こうした”ムダ”は全て現場に存在しています。

原材料がムダに在庫されていないか?

工程間の仕掛品が必要以上に発生していないか?

長期間眠っている製品在庫が存在していないか?

使われていない治工具類を必要以上に抱えていないか?

儲かる工場経営の視点では、モノは”動”で、人は”静”です。とにかく動いていない”モノ”、眠っている”モノ”を現場で見つけます。

つまり、カイゼンで取り上げるテーマと経営課題をリンクさせる具体的な手段として、”流れ”に着目して、”ムダ”探しを全社挙げて展開するのです。

 

 

 

以前、3現主義に関連して、ヒントや答えを引き出しやすい「場」を生かすために社長自ら現場へ足を運ぶ、ということを申し上げました。

3現主義では現場の「場」の力を生かす

つまり、優先すべき経営課題もカイゼンのテーマも現場に存在しているということです。

新たな付加価値を生み出すために、経営者と現場がいっしょになって、除去すべき”ムダ”の情報を共有します。

実感できれば、現場も納得感を持って、その”ムダ”の除去に取り組みます。経営者もそれまで気が付かなかった”ムダ”を見つけることもできます。

”ムダ”の裏返しが”新たな付加価値”です。ですからカイゼンで優先すべきは、この”ムダ”の除去なのです。

 

 

 

5Sの1番目の項目は”整理”。そして整理とは”不要なモノを捨てる”です。一般的には”赤札作戦”と呼ばれています。これを全社を挙げて実践します。

赤札作戦、それ自体は特別なことではありません。5Sの解説書には進め方が詳しく説明されています。実行しようと決断すれば、即できます。

経営者が先頭に立って全員参加で、動いていない”モノ”、眠っている”モノ”をピックアップするのです。こうすることで問題を現場で見える化できます。

赤札作戦の特質すべきことは、現場の問題を見える化することではなく、現場で問題を見える化することです。

赤札作戦では、現場責任の問題だけでなく、経営者責任の問題も出てきます。”現場の問題”は、原因をさかのぼれば、”経営者の問題”であることが多いことにも気が付くはずです。

例えば、現場でしばしば起こる工場スペースに関連した問題。こうした問題は経営者にしか解決できません。

 

 

 

儲かる工場経営につながるカイゼンでは、まず、現場で問題を見える化します。”停滞”、”滞留”、”放置”されているムダを全員でピックアップし、実感することです。

カイゼンを儲かる工場経営に繋げたいと考えるなら、カイゼンのやり方も変えねばなりません。経営者も現場もカイゼンのスキルを向上させることが求められ、カイゼンのテーマ選定方法は肝のひとつです。

”現場で”問題を見える化します。”現場の問題”を見える化するわけではないことに留意です。そこで、流れに着目して、”ムダ”を探します。

全社を挙げて、5S活動の一環である”赤札作戦”を展開します。

経営者も現場も、”現場で”納得のカイゼンのテーマが見えてきます。

そのテーマは経営上の問題であることも多いです。

ですから、儲かる工場経営やイノベーションへ繋がるカイゼンとなるのです。

流れに着目して、”ムダ”を探す、これをカイゼンテーマの選定方法の柱にします。

 

 

現場に存在する”ムダ”の情報が共有されていますか?

カイゼンのテーマ選定方法では、現場に存在する”ムダ”の情報が生かされていますか?

経営者が先頭に立って、”赤札作戦”を実施していますか?

 

 

まとめ:カイゼンを儲かる工場経営に繋げたいと考えるなら、カイゼンのやり方も変えねばならない。カイゼンのテーマ選定方法は肝のひとつである。流れに着目して”ムダ”を探すため、全社を挙げて”赤札作戦”を展開する。