「10年ロードマップ戦略」—儲かる工場経営を目指して—第2話 商品ではなく「コア技術」に注目した工場経営

第2話

 

自社工場のコア技術を問われて、自社の強みがすぐに頭に浮かびますか?

商品と技術、どちらに注目した工場経営が外部環境変化に強いでしょうか?

 

大手の製造企業や中小モノづくり現場での経験から、会社の規模に関係なくモノづくり現場には、必ずや強みが存在しているのを確信しました。

それが「コア技術」です。

事業が5年、10年と継続できているのならば必ずその工場には強みがあります。その強みを的確に認識して生かすのが儲かる工場経営のカギです。

そこで、コンサルティングのポイントの一つにこのコア技術を的確に把握し、生かすことを掲げています。モノづくり現場の存続と成長には絶対に欠かせない要素だからです。

 

そして、中小モノづくり経営者の付加価値創出のアプローチは2つです。

・何を造るかを重視し、新たな商品や製品を考えること。

・どのように造るかを重視し、新たな製造技術や生産技術、システムを考えること。

 

これら2つは排他的に存在しているのではなく、モノづくりを事業としている企業であるなら両者の要因を持っています。ただし、その強弱の違いによって、前者の傾向が強い工場経営と後者の傾向が強い工場経営が存在します。

これは、見込生産と受注生産という事業形態の影響も受けます。見込生産で直接に市場と向き合っている企業ならば新たな商品や製品を考えることが優先されます。一方、受注生産で幅広い顧客のニーズへ柔軟性高く対応しなければならない企業ならば、新たな製造技術や生産技術、システムを考えることが優先されることが多いです。

 

 

そして、今後、不確実性が高まる経営環境を前提とするならば、経営者の想いや事業形態に如何を問わず、これからは「どのように造るか」、このアプローチも重視すべきです。

つまり新たな製造技術や生産技術、システムを考えることを重視した「コア技術」に注目した工場経営です。コア技術に注目した工場経営には2つの効果があります。

1)連鎖的な技術イノベーションが期待できる。

2)多様な商品へ展開できる。

 

 

自動車部品を製造する工場でエンジニアとして仕事をしていたときの話です。

その工場のコア技術のひとつに「溶けた金属を固めること」がありました。つまり「凝固」現象のコントロール。そのコア技術に関連した研究所も存在し、その道の専門家が多数いる中で仕事ができたのは学びが多く幸いでした。

こうした環境下で「凝固」をコントロールする技術を開発したことがあります。「溶けた金属を固めること」ための「金型を冷却する」技術がキーテクノロジーでした。

 

 

技術開発では試行錯誤などを通じて多くのノウハウが現場に蓄積されます。こうしたノウハウは一緒に仕事をした後輩に確実に引き継がれます。

その現場で一緒に仕事をした後輩は、その後、得られたノウハウを生かして新たな技術を生み出しました。

その技術は、端的に表現すれば「溶けた金属を固めない技術」です。

この技術は「金型を冷却する」ことの逆の発想で得られたものです。彼が「コア技術」の学びに精進していた成果でもあります。

「コア技術」を柱に据えた工場経営では、イノベーションの組織的な波及効果が期待できるのです。知恵やノウハウが連鎖的に生かされる環境が現場に醸成されます。

 

 

また、その後、中小製造企業で勤務していた時、取引上お世話になった金属加工業の経営者も「コア技術」の重要性を語っていました。

その経営者は、創業者である父親から事業継承され、産官学連携や自社努力を通じた「コア技術」のブラシュアップに熱心に取り組んでいました。「一般的な加工技術だけでなく、表面化改質技術を加えることでウチのような規模の企業でも存在価値が出てくる。」と語っていました。

従業員は40名程度の中小製造企業です。一般的な切削、研削加工のみでは地域の同業者とは差別化が図れません。同社では「再生」をキーワードにして肉盛溶接技術、溶射技術、メッキ技術等の表面改質技術を極めようとしています。

エコなモノづくりを支えるという視点でユニークであり、「再生」をキーワードにした「コア」技術を極め、その技術を使って多種多様な商品やサービスを展開していました。

 

 

何を造るかを重視し、新たな商品や製品を考えること。これはコトよりもモノに注目した工場経営です。造れば売れるような経済全体が拡大時期であるならば、こうした工場経営でもガンガン成長できるでしょう。しかし、今は時代が違います。

モノは市場環境や顧客ニーズ等の外部環境に左右されやすく、ヒット商品が開発できたからと言って将来安泰というわけではありません。不確実性が高い環境においては、既存製品で何が売れ続けるのか、また新たに何が売れるのかは、誰もわかりません。

それだけに、次期自社主力製品をどうするのかは多くの経営者の課題であり、そこで、自ら新製品の開発に取り組んでいる経営者も多いです。

 

 

知人が幹部として働いている会社での話です。

社長が自ら積極的に新商品の開発に取り組んでいるが、なかなか成果が出ないとのこと。外部情報をもとに新商品の試作を進めるけれど、主力製品にはなり得ず、現場では品種のみが増え、管理する手間のみが増大。儲かっているのか、儲かっていないのかよくわからない状態に陥っている。こうした話を耳にしたことがあります。

将来展望を開くために5年先、10年先の売上の柱となる新商品を開発したいとの強い想いで自ら頑張っているが、成果が得られずに焦りを感じている経営者は少なくないと推測されます。

このような気持ちになっているモノづくり経営者にこそ、「コア技術」に注目していただきたいと考えているのです。

モノに注目しても、将来、何が売れるかは誰にも予想できません。幸いに競争力の高い商品を開発できても、その競争力がいつまで維持できるか不明です。モノのみによる差別化は競争の論点が機能・性能で定量化されており、時間経過経過とともに競合が追いついてきます。

そうであるならば、「コア技術」を柱にした骨太の戦略を描き、長期的な視点で儲かる工場経営を展開したいです。

実体のあるモノの開発に着目していない分だけ、成果を実感するまでに時間を要するかもしれません。しかし、どのように造るかを重視し、新たな製造技術や生産技術、システムを考えることで組織力を磨きあげることができます。

この組織力は付加価値を拡大させるための基礎体力です。時間をかけて磨き上げた組織力は模倣困難性が高く、自社独自の強みです。

さらに、コア技術に注目した工場経営では、連鎖的な技術イノベーションが期待できること、多様な商品へ展開できること、これら2つの効果にも注目です。

特定の主力製品に依存した場合に比べて、柔軟性の高い工場経営が可能です。経営者の将来へ対する不安が取り除かれるので、未来志向で前向きの舵取りができます。

そこで「コア技術」に着目するのです。5年先、10年先の見通しを立てるためです。儲かる工場経営で「コア技術」に着目するならば、まずは自社工場の「コア技術」を見極めることです。コア技術を見極めるプロセスが大切になってきます。

 

コア技術に着目して儲かる工場経営のしくみをいっしょにつくりませんか?