「10年ロードマップ戦略」—儲かる工場経営を目指して—第37話 判断基準を生かす戦略と戦術を切り分ける

判断基準をつくるのが経営者や幹部の仕事。その判断基準を使うのが現場の仕事。戦略と戦術をごちゃごちゃにしない、という話です。

経営者や幹部が日々の業務に細かく口出ししていませんか?

 

 

「ここでは経営の話をしている。」

工場勤務時代、管理職の会議で部門長がしばしば口にした言葉です。

多くの人から仕事のやり方の学びましたが、この部門長もそうした人のひとりです。

経営の仕事と現場での仕事は違うことを実感できました。

経営と現場を実地で経験したおかげです。

戦略と戦術の違いをしっかりと理解できました。

その後、中小の現場の管理者を担った時、その経験が大いに役立ちました。

なんでも実践を通じて学ぶものです。

 

 

管理者の仕事をするときに、最も意識したのは目線の高さです。

その職場をどうしたいのか、そのために”今”、何をすべきか。

管理者の目線は全てこれです。

常に先のこと、1年後のこと、5年先のことを問われました。

場改善を柱に仕事をしていた時と違って、目線の高さを変えなければなりませんでした。

現場のやる気を引き出す重要性も高まりました。

管理者は自ら動いて仕事をするわけではないからです。

人を動かす観点が重要です。

戦略と戦術を切り分ける感覚を身に着けました。

 

 

判断基準を数値で示す仕事は経営者や幹部にしかできません。

判断基準を設定するためには多くの情報が必要だからです。

トップの想いに沿って判断基準をつくります。

これは戦略です。

そして判断基準を使ってうまく仕事を回します。

これは戦術です。

 

 

ですから、

・判断基準をつくるのは経営者や幹部の仕事

・その判断基準を使うのは現場の仕事

です。

判断基準を現場に使わせ、気付きを与えるのが経営者の仕事です。

判断基準を使った評価を経営者自身がやってしまっては現場の自立性は低下します。

 

 

仕組みがない現場で問題が起きると、経営者や幹部は即席の判断基準で現場を評価しようとします。

先を見通した判断基準が設定できていない現場では、日々の細かい仕事のやり方に、経営者や幹部が口を出すことになります。

目前で起きていることにしか意識がいかないからです。

問題が起きた時点で、即席の判断基準を作って現場を評価しがちです。

問題が起きてから、思い付きの判断基準を上司から示されても現場は戸惑うだけです。

自律性は失われ、現場は守りに入ります。

現場は自律性を発揮しようがありません。

判断基準を使って日々の評価をするのは、あくまで現場自身です。

経営者の役割は、次の行動を促すことです。

日々の業務の評価は現場に任せます。

 

 

振り返れば、エンジニアとして現場で仕事をしていた時、日々の業務で上司から数値の結果をとやかく言われたことがなかったことに気づきます。

上司から言われたのは、”次はどうする?”だけでした。

日々、上司からうるさく評価されていたら、モチベーションも下がっていたことでしょう。

その意味で、当時の上司はやる気を引き出すのが上手でした。

日々の仕事の評価は判断基準に任せます。

現場には自律的に判断させるのです。

判断基準には、経営者の想いが込められているので十分に機能します。

 

 

仕組みを機能させるために欠かせないのはフォローと評価です。

これは絶対です。

そして、ここで言う「評価」の対象は日々の業務ではありません。

現場のやる気を引き出す観点での評価です。

経営者にしかできない評価です。

判断基準を生かす戦略と戦術を切り分けます。

戦術は現場に任せます。

戦略と戦術をごちゃごちゃにしないように。

経営の仕事、現場の仕事、それぞれを担うべき人がいるからです。

 

日々の業務の評価は判断基準に任せて、経営者はもっと大きな観点で現場を評価する仕組みを作りませんか。

 

まとめ:判断基準をつくるのが経営者や幹部の仕事。その判断基準を使うのが現場の仕事。戦略と戦術をごちゃごちゃにしない。