「生産性ロードマップ戦略」—儲かる工場経営を目指して—第44話 若手人財の育成に経営者の想いを込める

人財育成に経営者の想いを反映させていますか?

 

企業の命脈は、若手人財の成長にかかっています。10年先、20年先、現場を引っ張る人財がどれだけ育っているかです。

経営者の想いに共感した若手人財のチームがある現場は強いです。若手が元気な現場では、前工程から後工程まで一貫した強いつながりができているからです。

経営者の想いに共感した若手は、経営者の分身となって現場で一生懸命に動いてくれます。若手の一生懸命さは、周囲へ波及します。

若手人財育成の最大の目的は共感を引き出すことです。時間を味方につけて、ベクトルが揃った現場に変えていきます。

 

 

 

また、人財育成では知識の習得も欠かせません。知識は考えるための手段であり、先人たちの経験を体系化したものです。

ですから、知識を使って、自分の経験を体系化できます。若手に是非とも身に着けてもらいたいスキルのひとつに経験の体系化があります。

個人の体験をチームで共有するのです。そして、組織として生かせる現場を目指します。

これまでの中小の現場では、ひとりひとりが、自ら頑張っていました。先輩作業者の背中を見ながら仕事をおぼえ、自らの経験を通じて、ノウハウを身に着ける。多くのノウハウが、各個人に蓄積されていました。

これからは、ノウハウを組織に蓄積していきたいのです。

 

 

 

わたしたちは、少子化という避けられない外部環境の変化に直面しています。15歳~64歳の人口が、20年後には、現状対比で20%近く減少するという予測もあります。

少数精鋭で筋肉質の現場に変えていかなければ、生き残れません。現状のままでは、豊かに成長するどころの話ではないでしょう。

先を見通して手を打つ経営者ならば、時間を味方につけた現場の体質強化に取り組むはずです。若手には、自身で経験したことをノウハウに翻訳し、仲間と共有してもらいたい。

そのための教育、訓練が知識の習得です。考え抜くことができる地頭の強い若手人財を育成します。

情報通信技術の現場導入なども予想され、これからのモノづくり現場は、複雑化、高度化します。したがって、それに伴い、発生する問題も、また、複雑化、高度化するのです。

解決を導くためには、粘り強く考え抜くことができなければなりません。これからの現場では、地頭の強さが問われます。

考えるための基礎知識の重要性も高まってくるのです。

 

 

 

モノづくりの3大基礎知識に注目します。

・品質管理

・原価管理

・生産管理

これらの基礎知識を、徹底的に理解させます。ただし、網羅的に全体を教える必要は全くありません。現場の仕組みに即して教えることがポイントです。

これら3大基礎知識は、あくまで、実学として、使うために教えるのです。

 

 

 

管理者の立場で、現場リーダーに原価管理を教えたことがあります。

現場のメンバーなら誰でも、自分が扱っている製品のことが気になっているものです。特に、儲かっているのか、儲かっていないのかは気になります。

そこで、現場リーダーに”付加価値”を軸にして、現場の原価管理を教えました。1年ほどの時間をかけ、実務を通じて、その現場リーダーに学んでもらいました。

現場で押さえるのは変動費だけです。単価は決まっています。

したがって、現場でも簡便に製品の付加価値を算出できます。

そして、毎月、最低でも積み上げなければならない付加価値額の意味を解説しました。この付加価値を生み出すための売上高が、トントンとなる売上高・・・・。

 

 

 

業務に即して、付加価値を柱とした原価管理の方法を現場リーダーに教えたのです。

「原価管理」の教科書には、現場で不要な知識も掲載されています。使わない知識を教える必要な全くありません。

ですから、当時、管理者として、現場方針に沿い、オリジナルな内容で教えました。

付加価値に着目しているので、儲かっているか、儲かっていないかが見えてきます。興味が沸かないわけはありません。

現場リーダーは、興味深く、どんどん知識を吸収してくれました。そして、現場のメンバーへも説明してくれました。

今でも、付加価値の考え方を柱に、現場を導いてくれていることでしょう。原価管理の知識を活用して、利益を生み出す考え方を、現場で共有したわけです。

 

 

 

知識は考えるための道具です。モノづくりの3大基礎知識は、現場の実情に即して教えます。人財育成は、

・経営者の想いへの共感を引き出すこと、

・モノづくりの3大基礎知識を習得させること、

これらを柱にメニューを組み立てます。ここに、経営者の想いを込めるのです。

 

 

 

組織改革や風土改革では、現場の「意識」を変える必要性に必ず直面します。そして、それらは、容易に変わるものではありません。

時間を味方につけてじっくり変えます。効果的なのは、若手人財の育成を通じて、組織改革や風土改革を進めることです。

若手人財は、いい意味で、現場の過去のやり方に染まっていません。染まっていない分、そこへ経営者の想いをじっくり刷り込むのです。

経営者の想いに共感する人財が、現場の大部分を占める時期が必ずやってきます。若手人財の育成を地道に行えば、絶対に、そうした状態へ至るのです。

その結果、経営者は力強い右腕のチームを手にします。そして、そのチームは、モノづくりの3大基礎知識をしっかり習得し、経営者の想いにも共感しているのです。

使命感に燃えたチームワーク、チームオペレーションが機能します。

さらに、モノづくりの3大基礎知識にも、経営者の想いが反映されています。つまり、仕事のやり方そのものに経営者の想いが反映されているのです。

 

 

 

企業の命脈は、若手人財の成長にかかっています。

人財育成、特に若手の育成に、経営者の想いを込めます。回り道のようですが、力強い右腕のチームを手にするためには、確実な方法です。

時間を味方につけます。

 

経営者の想いに共感する若手人財を育成する仕組みをいっしょにつくりませんか?