「10年ロードマップ戦略」—儲かる工場経営を目指して—第62話 小日程計画の精度を向上させるのは社長の仕事

貴社では小日程計画の精度を高める取り組みをしていますか?

 

生産計画は、「利益の出し方」を現場へ示したものです。

このような製品内訳で、いつまでに、

何個生産すれば、目論見通りの利益を獲得できると経営者が現場へ意思表示したものです。

経営者の想いが反映しています。

 

利益の見通しが提示されていない生産現場を思い浮かべて下さい。

現場の意識は、納期のみに向きます。

自発的な生産性向上活動は、生まれにくい現場になってしまうでしょう。

納期に間に合いすればいいわけですから・・・。

現場改革を進めたい経営者にとっては、避けたい状況ではないでしょうか?

 

利益を望むのなら、利益と紐づけた生産計画を現場に示すことです。

大日程計画と利益計画を関連付けます。

大日程計画の期間は概ね6ケ月~1年。

見込生産や規格品受注生産のみならず、特注生産でも、生産計画と利益計画を紐づけ、「利益の出し方」を現場へ明示するべきです。

現場は、利益を獲得するために汗をかいています。

 

 

 

一方、1日~1週間を対象にした小日程計画の目的は「変化」への対応です。

見込生産や規格品受注生産の小日程計画は、一定のパターンを持っています。

繰り返し品を生産する機会が多いからです。

 

小さな変化への対応があるものの、基本的に、大きな変化への対応はほとんどありません。

工程順序も多くの製品で共通であったり、同じであったり、繰り返されます。

工程設計をする手間は省かれます。

フロータイプの日程計画です。

 

 

 

しかし、特注生産は、フロータイプの日程計画にはなり得ません。

受注が確定するまで、各職場の負担は未定です。

 

フロータイプと異なり、受注した案件の加工経路、工数などが、各職場でバラバラです。

そもそも、どんな受注が届くのかは、誰も予測できません。

 

リピート製品ではないので、都度、新たな工程設計が必要となります。

ランダム対応の日程計画です。

 

中小製造企業では、特注生産の形態を柱にしているところも多いのではないでしょうか。

小日程計画の精度工場が課題となっていませんか?

 

 

 

特注生産の日程計画は、複雑に入り組んでいることが多いですから、現場と生産管理担当者が一体化していないと、全体最適な日程計画ができません。

仕様や数量、納期の変化へ、柔軟に対応することが求められます。

 

受注案件の内容を読みとり、最適な工程、最適な工数をはじき出すには、熟練者の目が必要です。

現場で実務を重ねた経験を持つ生産管理担当者ならば、現場の信頼も厚く、的確な生産計画を提示できます。

 

しかし、生産管理担当者の全てが、熟練者というわけではありません。

現場の詳細を把握できないままに、業務に対応しなければならないこともあります。

 

そのとき、結果的に、その日程計画は、差立型日程計画になっていることが多いです。

担当者が、詳細に作業日程を記入したけれども、現場が活用している情報は、納期と処理すべき仕事に関するもののみ、という状態になっています。

各職場内での工程、機械、人への仕事の割り付けは、現場任せになります。

 

そうなると、現場の状況が読めない担当者は、余裕を持った納期を設定しがちです。

リードタイムに対しては、緩い考えしか持てなくなります。

納期が間に合えばそれいいという考えが現場に蔓延するのです。

 

そうした現場では、納期短縮の意識は生まれません。

これは、特注生産現場を持つ経営者が、特に注意すべきことです。

 

 

 

 

 

中小現場で生産管理を担当したときのことです。

初めて担当する製品の日程計画について、周囲へ相談をしたとき、次のアドバイスがありました。

「過去の実績を確認すればいいですよ」

 

他の担当者も、初めて担当する製品の日程計画を立てるとき、そのようにしていました。

ファイルを引っ張り出し、過去実績を参照して日程計画を立てるのです。

そこで、私も同じようにしました。

該当する製品の過去の生産手配実績を参考にして、生産手配を済ませました。

 

 

 

後日、現場から声をかけられました。

「こんなに余裕のある日程を立てなくても、まだまだ速くできますよ」

 

現場は、自主的に工程を割り付け、現状に合った日程で仕事を進めていたのです。

こちらとしては、日程を割り振って、

最適な計画を立てたつもりでしたが、結局、差立型になっていました。

 

結果として、現場丸投げ状態だったわけです。

その結果、生産リードタイムの管理はできていませんでした。

 

参照した過去実績は、あくまで、過去の生産管理担当者が発行した「生産手配書の実績」であって、「現場作業の実績」ではなかったのです。

現場の状況と合わない生産手配書の過去実績をいくら参照しても改善は進みません。

 

そのときやるべきことは、生産リードタイム実績をひたすら積み上げ、機能別レイアウトでの生産能力(基準日程)を現場と一体となって探ることでした。

特注生産現場では、現場作業の実績を分析することが大切な仕事なのです。

そうでなければ、短納期で勝負をかけたくても、ボトルネックを現場と共有できていないために、対策が進みません。

 

特注生産現場は、多くの場合、機能別レイアウトです。

したがって、ボトルネックの現れ方は、製品別レイアウトと比べて多様で複雑です。

だからこそ、日常的に問題点と課題を整理しておかなければなりません。

 

 

 

つまり、特注生産職場において、小日程計画精度向上は経営課題なのです。

機能別レイアウト現場の生産能力評価は、製品別レイアウト現場よりやり難く、現場の実態に合わせた、独自の評価手段を考える必要があります。

 

一担当者で解決できる問題ではありません。

案件ごとに現場作業実績(生産手配書の実績ではなく)を積み上げ、分析し、多様に現れるボトルネックを整理し現場と共有することです。

現場と担当者が情報交換をやり、双方で修正、変更を進められる一体感が重要となります。

組織的な対応が欠かせません。

そうして、特注生産の日程計画の精度を上げるのです。

 

 

 

ですから、経営者は、小日程計画精度向上の目的を現場へ明示して、取り組む必然性を感じさせなければなりません。

そうでないと、特注生産現場ではKKD(勘、経験、度胸)に判断基準をおいた工程設計や納期設定が普通になってしまっています。

 

人に依存した仕事のやり方です。

そのやり方を変えて、組織的に取り組むのです。

 

 

 

 

 

小日程計画の目的は「変化」への対応です。

特に、特注生産ではそうです。

 

精度の高い小日程計画は、短納期化へつながります。

生産リードタイムを的確に把握できるからです。

 

つまり、「今」を知っていれば、どうすべきかは、自然と見えてきます。

総合力が試されます。

総合力が試される課題なので、経営者のリーダーシップで担当者や現場を支援することが必要なのです。

 

特注生産で小日程計画の精度を高める仕組みをつくりませんか?