「生産性ロードマップ戦略」—儲かる工場経営を目指して—第84話 なぜ現場の一体感の醸成を重要視するのか?

現場の一体感を醸成する仕掛けがありますか?

 

平昌(ピョンチャン)冬季オリンピック大会の日本人選手の活躍に心を打たれ、胸をふるわせた皆さんも多かったのではないでしょうか。

メルマガでも触れていますが、スポーツをやるのも、観るのも好きな私もオリンピック期間中、何度も感動させてもらいました。

 

選ばれたアスリート達の真剣勝負の姿になぜこれほどまでに感動を覚えるのでしょう?

それは、そこへ至るまでの過程で超人的な努力を重ねてきた努力や頑張りを、ひとりひとりの選手に感じるからではないでしょうか。

 

成果が出た選手には、報われてよかったねと心から賞賛を送り、残念な結果に終わった選手には、いっしょになって悔しい思いを共有する。

アスリート達の人一倍、頑張ってきた過去を知っている(あるいは想像できる)からこそ、競技の成績にかかわらず多くの人は感動を覚える・・・。

 

すべてを掛けて力を注いだ取り組みは、それ自体、人を引き付けるエネルギーがあります。

私たちのモノづくり現場も同じではないでしょうか。

 

何一つ迷いを持たず一心不乱に仕事に打ち込める場を整備し、成功した暁には全員でガッツポーズできるように現場を導きたいです。

これは経営者にしかできない仕事です。

 

 

 

 

 

さて、先のオリンピックでは、選手ひとりひとりの個のエネルギーを感じるとともに、チームワークの素晴らしさ、大切さも感じることもたびたびでした。

特に印象的であったのはスピードスケートの女子団体パシュート。(皆さんもそうかもしれませんが。)

 

3人の選手が一緒に滑走し、最後の選手がゴールしたタイムを競う競技です。

最後の選手がゴールしたタイム、というのがこの競技のポイントですね。

一人だけ優れた選手がさっさと先に走って行ってもだめで、あくまで3人目の選手がゴールした時のタイムを競うのです。

 

ご存知のように、この競技で、見事に日本女子チームは宿敵オランダチームに勝利して金メダルを手中に収めました。

途中、オランダチームの後塵を拝する場面もありましたが、最後はチーム力を発揮しての逆転勝ちです。

 

勝利後、およびメダル授与後のインタービューはとても印象的でした。

全員がチームのおかげと言い切り、チームメイトに感謝し、支えてくれたスタッフ、関係者へおりがとう!との言葉を発していましたのを皆さんも耳にしたと思います。

チーム力の勝利であったと全員が実感していたのでしょう。

 

ある報道番組で、勝利の要因を解説していました。

2つの武器があったと。

1)ワンライン

2)日本独自の先頭交代方法

 

前者は見事なまでに滑らかに連動、同期している3選手の動きのことです。

隊列を乱さず、きれいに滑らかに滑ることで、後方選手が空気抵抗を受けずに滑走でき、後半へ向けての体力を温存できます。

 

後者はレースの途中で先頭を交代するときのやり方のことです。

日本は、隊列のスピードを落とさないことを優先し、先頭を滑走している選手が後方へ大きく回り込む方式を採用したそうです。

このため、先頭を滑っている選手の滑走距離が延び、体力の消耗につながるデメリットがあったようですが、勝利のためにそうした独自の方法を編み出しました。

 

このような2つの武器を手に入れることができたのはオール日本として練習を重ねた成果のようです。

年間300日以上、一緒に過ごす合宿形式でトレーニングをしたとのこと。

 

なるほど、と腹落ちした次第です。

個の力で上回るオランダを破る程の強固なチームワーク力は、質の良いお酒のようにじっくり、じっくり熟成させて築き上げた成果物だったと言えます。

 

 

 

勝利の喜びを全員で分かつ姿にチームワーク力の素晴らしさを感じた一方で、負けてもなお、やはりチームワーク力の大切さを感じた競技もありました。

メダルを期待されつつも、残念ながら4位に終わったスキー競技の男子ノルディック複合団体です。(世界で上から4番目ですから、普通に考えればスゴイことですが、メダルを期待されるとそうはいかないわけですね。)

 

後半の距離競技でタイムを出せず、メダル獲得につなげられなかった若手選手を他のベテラン選手が全員で激励していた姿が印象に残っています。

インタビューでも中心選手は若手のこれからの頑張りも言及していましたが、そうした諸先輩たちの励ましを受けて、これから頑張ろう!と心に誓わない若手はいないでしょう。

まさしくチームワーク力の為せる技です。

 

 

 

 

 

今回のオリンピックを通じて改めてチームワーク力の大切さを実感しました。

チームワーク力は人材の力に相乗効果を持たせる効果があります。

 

チームや会社の役に立っているという感覚は有能性を感じさせるからです。

やる気を引き出され、ここ一番で120%の能力が発揮させる場ができあがります。

チームワーク力の重要性はここにあるのです。

プラスアルファの頑張り、つまり火事場の馬鹿力を引き出すのがチームワーク力と言えるのではないでしょうか。

 

スピードスケートの女子団体パシュートでもスキー競技の男子ノルディック複合団体でもチームワークに言及していたのは10代、20代の選手です。

個の力がまず求められ、個とのしてのプロフェッショナルを目指している若手のアスリートがチームワーク力の必要性を語っていたことに注目できます。

 

中小製造現場でも同じです。

若手ほど、現場にはチームワーク力が必要であると感じています。

 

中小現場の管理者時代、新たに仕組みづくりをしようと現場ひとりひとりと話をした時、新しいやり方が必要ですよね、と呼応してくれた多くは若手でした。

今、立場が変わって仕組み作りのご支援をするようになっても、現場の関係者と話をして感じている印象も全く変わりません。

若手は現場のチームワーク力を生かしたいと考えています。

 

 

 

弊社で重視している一体感とは言い換えるとチームワーク力のことです。

弊社で一体感醸成の仕組みづくりにも力を入れているのは、現場の若手は、仲間と連携していい仕事をしたいと考えているとの確信があるからです。

 

儲かる工場経営で社長のための生産管理の仕組みを機能させるのに必要なのは、まさしくこのチームワーク力であり、一体感です。

そして、やる気のある若手はそうした仕事のやり方を望んでいます。

 

アスリートにとってのチームワーク力の源泉は金メダル獲得です。

一方、中小製造現場にとってのチームワーク力、一体感の源泉は経営者の想いであり、その想いへの共感です。

 

ですから、弊社では経営者の想いの現場への浸透の大切さを繰り返し、申し上げています。

まずは、貴社の金メダル獲得に向けて、経営者の想いを浸透させることです。

 

女子スピードスケートチームがチームワーク力を獲得したのに300日一緒に過ごす合宿が必要であったように、一朝一夕で手にできる成果物ではありません。

しかし、時間をかけて構築できたものは本物です。

間違いなく貴社の強みになり、社長のための生産管理の仕組みを力強く回し続けることでしょう。

やる気ある若手は一体感の醸成を望んでいます。

 

現場の一体感を醸成する仕掛けをつくりませんか?