「10年ロードマップ戦略」—儲かる工場経営を目指して—第45話 人手不足をインプット増加ではなく、生産性向上で乗り切る

貴社では人手不足を感じていませんか?

 

2017年3月現在、人手不足を感じている中手企業の割合は73.7%です。

2017年3月実施「中小企業基盤整備機構」緊急アンケートの結果です。1067社からの回答結果をまとめています。

さらに、人手不足への対応(複数回答)は次のようになっています。

「従業員の多能工化・兼務化」41.9%、

「業務の一部を外注化」39.3%、

「残業の増加」35.5%

「業務プロセスの改善・工夫」33.5%

 

人手不足の深刻度合いを業種別にみると、運送業、飲食店・宿泊業、建設業、製造業となっています。製造業は他の業種に比べると深刻度合いが低いですが、10年先、20年先を考えれば懸念は同じです。

15歳~64歳の人口が、20年後には、現状対比で20%近く減少すると予測されています。したがって、現場を少数精鋭の筋肉質にすることが中小モノづくり企業の重要課題です。長期的な視野に立つ経営者なら、気になってしょうがないテーマでもあります。

中小製造業の強みは、その現場がたどってきた歴史の積み重ねによるところが少なくありません。製造ノウハウには、まだまだアナログ的要因が含まれます。逆に、こうした暗黙知的なノウハウにこそ、中小の強みがあるのです。

情報通信技術(ICT)が、どんなに現場へ導入されようとも、アナログ的要因が、貴社の強みとなる可能性は大きいです。

貴社のモノづくり力は、IOTに代表されるデジタル部分と技能に代表されるアナログ部分の組み合わせで構築されます。

これは、今後も変わらないモノづくりの原理原則であり、モノづくりの本質です。

 

そして、製造ノウハウを維持し、活用し、積み上げるのは、現場の人財です。現場のノウハウに触れ、それを体得し、さらなるノウハウを積み上げるのは、現場の重要な仕事です。

人手不足は、次世代へ向けたノウハウを積み上げるのに必要な人財の確保へ影響します。人財が足りないとノウハウの積み上げが停滞するのです。

作業工数不足は、人手不足問題の本質ではありません。中小現場の知恵袋を充実させるべき頭脳が足りなくなることに、問題の本質があるのです。

 

製造業の強みは、その現場がたどってきた歴史の積み重ねによるところが多く、その習得のプロセスは現場独自です。時間がかかります。

だからこそ、強力な強みになるとも言えます。容易に、簡単に、短時間で積みあがるノウハウは、お金で買えるので、強みになり得ません。

中小の現場で積み上げるノウハウは、蓄積に時間がかかり、知恵も必要です。したがって、次世代へ引き継ぐノウハウを積み上げるには、やる気に満ちた若手人財が必要になります。

 

 

 

 

中小製造企業では、5年先、10年先を見通したモノづくり戦略が絶対に必要です。15歳~64歳の人口が減ることへの対応策を、今、やらねばなりません。

生産性は、投入された経営資源あたりのアウトプットを示しています。

生産性 = アウトプット ÷ インプット  (1)

しばしば、目にする公式です。

 

この(1)式を次のように変形します。

アウトプット = 生産性 × インプット  (2)

利益の源泉となる付加価値を積み上げ続けなければ、モノづくり事業は継続できません。

したがって、今後、5年先、10年先、20年先、人手が足りなくなろうとなるまいと、アウトプット、特に付加価値を拡大させる必要があります。現状維持は、相対的に、後退を意味するからです。

 

アウトプットを拡大させる方法は2つしかありません。(2)式から明らかです。

1)生産性を上げる

2)インプットを増やす

貴社では、今後、どちらを柱に事業を進めようとしていますか?

 

 

 

 

人財がなかなか採用できず、人手不足に直面する中小企業では、まず、「従業員の多能工化・兼務化」、「残業の増加」を考えます。

多能工化・兼務化は、筋肉質の現場を目指す上でも、重要なテーマです。

ただし、目的を果たすのに時間を要します。加えて、計画的、体系的に取り組まねばならないプロジェクトです。

思い付きでやり始めると、「仕事に人を当てる」ではなく、「人に仕事を当てる」ことになります。特定の人財に、仕事が集中する事態に陥るのです。

かって、仕組みが未整備の中小製造現場で、生産管理業務を担っていたときの話です。

属人的な対応が必要となり、生産管理業務が回り難い状態になったことがあります。そのようなところに、開発業務もやるよう、上司から指示がありました。

なんとも言えない印象を持ったことを思い出します。当時、残業を増やすしか、手はありませんでした。上司も含め、現場全員が、みんな一生懸命に働いていた職場です。しかし、見通しの見え難い職場でもありました。

計画がないと、上司も全体を俯瞰できず、こうなってしまいます。これは、結局「残業の増加」と実質同じです。

 

 

 

 

つまり、手を打たねば、人手が足りない事態を、全員の残業で乗り越えることになります。

一時的に、切り札としてやる残業は、問題ありません。

目的が明確です。やり切ったときの達成感もあります。

しかし、本質的な工数不足を補うための残業はどうでしょう。

つまり、慢性的な残業です。

現場は疲弊します。

本来、次世代へ引き継ぐノウハウを積み上げる重要な仕事が、若手人財にはあるのです。ところが、人手が足りず、工数を確保するために、慢性的な残業をやらざるを得ない・・・。

現場のモチベーションはどうなるでしょうか?

 

 

 

 

5年先、10年先の人財確保が難しくなることに備え、私たち中小現場は、生産性を上げることに注力します。インプットを増やす方ではありません。

ですから、5年先、10年先を見通して、予想される工数不足を分析し、生産性を上げるテーマに取り組まねばなりません。少数精鋭の筋肉質の現場を作り上げるためです。

時間を味方につけて、計画的、体系的に進めます。

インプットの減少を補って余る、業界が驚くほどの生産性向上に挑戦です。働き方改革として、残業ゼロも目指します。残業ゼロで付加価値生産性を高めるのです。

手段として、戦略的な多能工化があります。カイゼンやイノベーションも必要です。

挑戦的な目標は、現場の士気を高めます。

10年ロードマップで5年先、10年先の見通しをつけ、独自の強みに焦点を当てて、生産性を高めるのです。現場へ見通しを示せば、現場は頑張ります。若手人財も元気です。

 

人手不足をインプット増加ではなく、生産性向上で乗り切る仕組みをいっしょにつくりませんか?