「生産性ロードマップ戦略」—儲かる工場経営を目指して—第53話 儲かる工場経営は生産管理体制の構築から

貴社では生産管理体制が整備されていますか?

 

儲かる工場経営を目指すなら、まずは、貴社の生産管理体制をチェックして下さい。

弊社の定期セミナーで申し上げていることです。

 

これは、中小の製造現場の管理者時代に経験したことが背景にあります。

中小製造業経営者の一生懸命さが、必ずしも現場とかみ合っていない場面を多く見てきたからです。

 

とても、もったいないことだと感じています。

経営者は懸命に頑張っている、現場も必死になって汗をかいている。

しかし、必ずしも最良の状態ではない・・・・。

 

これは、現場にあるべきものがないからです。

生産管理体制。

生産活動を進める仕組みが、整備されていないのです。

現場担当者の属人的な努力のみで対応しているから、とも言い換えられます。

突き詰めれば、経営者も管理者も、生産活動で焦点を当てているのは納期だけ、という事実に至ります。

さらに言うなら、経営者や管理者が「生産管理」と考えていたことが、実は単なる「生産指示」に過ぎない場合があるのです。

 

儲かる工場経営の土台を構成するのは、「生産管理」であることを、しっかりと認識していただきたいのです。

利益を獲得するため、お金を生み出すため、稼ぐため、儲けるための生産管理をします。

 

納期を遵守させるだけの生産指示では儲かりません。

生産指示と生産管理の最大の違いは、部分最適と全体最適にあります。

 

 

 

営業や顧客から届いた受注情報をもとに、現場では生産計画を立てます。

受注情報には、品種や数量の変更、追加、削除なども含まれます。

計画には変更、修正がつきものです。

顧客要望は、受注後も変化することを前提に、生産体制を組まなければなりません。

 

受注生産では、まず、受注時点で、他製品の生産計画と整合性をとる必要があります。

納期が重なる、特定の工程に集中する、などの事態への対応です。

受注時点で、全体最適を考えます。

その後、変更情報が届けば、さらに、同様の対応が必要です。

 

見込生産も原則、同じです。

見込生産の生産計画決定権は、生産者側にあります。

したがって、全体最適化された生産計画は、受注生産に比べると立てやすいです。

つまり、見込生産は見込生産よりも、平準化生産がやりやすくなります。

 

しかし、見込生産のもとになる需要予測が、現実とバッチり会うことは稀です。

その結果、生産計画の変更、追加、削除への対応が迫られるのは、受注生産と同じです。

その時点では、やはり全体最適を考えねばなりません。

 

生産形態が受注であれ、見込みであれ、生産計画で全体最適を考えなければならない場面に必ず直面するのです。

 

 

 

さて、生産管理担当者が製品別に複数居て、かつ情報の一元化がなされていないと生産現場では何が起きるでしょうか。

生産管理担当者は、自分が担当する製品の流し方の最適化を図ろうとします。

 

しかし、現場全体が見える状況にはないので、他製品との生産計画上の整合性の有無を判断しようがありません。

部分最適化にとどまっているのです。

 

加えて、それは単なる「生産指示」にすぎません。

「管理」になっていないからです。

「管理」では比較する基準が必要です。

結果として、現場へしわ寄せがいきます。

 

全体最適化が図られた生産計画には、生産管理の仕組みが欠かせません。

貴社の現場では、どうですか?

生産計画は全体最適化が図られていますか?

 

 

 

生産管理体制をチェックするとき、最初に確認することは、生産計画の全体最適化を検討する仕組みの有無です。

 

中小は、その規模故、力づくで現場を回すことができます。

しかし、本来持っている、柔軟性や小回り性、機動性を生かすなら、仕組みで回すことを考えたいのです。

その一歩目が、生産計画の全体最適化なのです。

 

生産計画が単なる、生産指示になっていませんか?

計画の調整作業が、現場に丸投げになっていないでしょうか?

 

これは、もったいないことです。

現場のポテンシャルを浪費していると言わざるを得ません。

 

 

 

産管理は生産計画に始まり、その後、生産実施を対象にします。

ここで、やるべきことは生産統制の3本柱です。

現品管理、進捗管理、余力管理。

 

さらには、生産実施後のフォローです。

生産計画、生産統制、その後のフォローの仕組みが生産管理になります。

 

また、管理ですから、判断基準となる数値が必要です。

見える化が整備されていてこそ、生産管理が現場へ定着します。

定量的な判断基準がなければ、それは、単なる思い付きで、仕事をしていることになるからです。

 

生産管理の仕組みがないことに起因して、発生する業務上の負荷は、全て現場が負っていることに留意して下さい。

現場力を生かすべきは、こうしたところではありません。

 

 

 

多くの現場では、改善活動が展開されています。

経営者の意気込みを反映した活動でもあり、大変すばらしいことです。

 

ただし、そうした現場へも、弊社は問いかけます。

現場に生産管理の仕組みが定着していますか?

 

改善活動は、現場の自律性を育む目的でも大変効果的な活動です。

多くの経営者は改善活動の取り組みに熱心です。

 

ただ、せっかく展開するならば、利益につなげたいのです。

儲かる改善活動にしたいのです。

それであるならば、生産管理体制の整備が先です。

モノづくりの流れをルール化し、見える化を整備する方が先なのです。

 

なぜなら、改善活動の成果を、全体に波及させたいからです。

成果が部分最適にとどまっているとお金が生み出されません。

儲かる改善活動には全体最適の視点が欠かせず、生産管理体制が現場に定着していることが前提です。

 

ですから、儲かる工場経営は、次の順に仕組みを創ります。

・儲かる生産管理 → 儲かる改善活動

 

現場の頑張りが形に現れることで、作業者のやる気が引き出されます。

現場の頑張りを形に現すためにも、まずは生産管理体制の整備から始めて下さい。

 

改善活動がより実効性がともなった活動に変わります。

加えて、現場のノウハウを、個人ではなく、組織や仕組みに蓄積した方が、経営者にとっても望ましいはずです。

 

いっしょに儲かる生産管理の体制を整備しませんか?