「生産性ロードマップ戦略」—儲かる工場経営を目指して—第76話 利益に繋がる社長のための生産管理
利益に繋がる社長のための生産管理を実践できていますか?
以前のコラムで、中小製造企業が注目すべき3つの”変化”について述べました。
1)儲かる工場と儲からない工場の格差が、どんどん広がっている。
2)次世代を担う若手人材の確保が、どんどん困難になっている。
3)製造現場に情報通信技術(ICT)が、どんどん導入されている。
言い換えると、格差、少子化、IOTです。
セミナーや個別相談の際に申し上げていますが、これら3つの変化は因果関係にあります。
少子化は避けようのない外部変化です。
その結果、多くの中小製造企業は次世代を担う若手の確保に苦労します。
したがって、現場改革によって生産性を高めることは喫緊の課題なのです。
そして、生産性向上の解決手段のひとつがIOTの現場への導入です。
メルマガなどでもご紹介していますが、積極的な社長はすでに走り始めています。
気が付いている社長は気が付いているのです。
積極的な社長の現場と気が付いていない社長の現場で、生産性の格差、つまり収益上の格差が大きくなるであろうことは容易に予想できます。
ですから、改善活動が利益につながらないと嘆いている暇はないのです。
全社が一丸となってお金を生み出すために、活動のベクトルを合わせなければなりません。
そこで、利益につながる生産性向上を実践するのです。
詳しくはセミナーなどで解説していますが、3つの生産性向上を組み合わせます。
手段と根拠を明確にして改善活動を進めれば、納得感が生まれ、現場の自律性が発揮されるのです。
そして、利益につながる改善活動の背景には、儲かる生産管理の考え方が根付いています。
QCDは生産活動の3条件と呼ばれ、これらは出来上がった製品の成果を計測する指標でもあります。
品質、コスト、納期は生産活動の成果物なのです。
少品種多量生産の時代なら、品質のいいものを、安く、納期通りにつくれば、そこそこ儲かりました。
しかし、今は、多品種少量生産の時代です。
顧客要望の多様化、製品のライフサイクルの短期化、などを背景に品種が増えました。
品質がいいのはあたりまえ、即納も当然のように求められ、行きつくところは価格競争・・・。
多品種化で利益を生み出すには、確固たるモノづくり戦略が欠かせなくなってきました。
したがってQCDも新たな視点で考え、利益に繋がる生産管理を現場で実践する必要があります。
そうして貴社現場独自の生産の「型」を構築するのです。
利益に繋がる社長のための生産管理では、QCDを下記のように捉えています。
・Q(品質):品質管理に品質原価の考え方を導入する。
品質原価の考え方は危機管理に通じます。
つまり、問題を未然に防ぐことに全力を傾けるのです。
・C(原価):原価管理に付加価値額の考え方を導入する。
費用を固定費と変動費で切り分けます。
固定費は経営者の想いが込められた将来投資ととらえ、その効率を高めることに注力するのです。
その一方で、変動費に着目して付加価値額の最大化を図ります。
現場活動を付加価値額で評価するのです。
生産性向上と利益との関連が明らかとなり、現場のやる気を引き出せます。
・D(納期):工程管理にリードタイムの考え方を導入する。
納期厳守のみに焦点を当てた工程管理を卒業します。
そして、生産リードタイム、注文リードタイムのように時間幅に焦点を当てるのです。
リードタイムを意識するとムダが気になります。
そして、ムダ取りは結果としてコスト削減につながるのです。
また、圧倒的な納期は差別化にもつながります。
弊社のご支援では、これら3つに焦点を当ています。
現場によって事情が異なりますので、状況に応じてアレンジしながら、現場独自の「型」をつくっているのです。
この3つの観点が、利益に繋がる社長のための生産管理のポイントになります。
部分最適化ではなく、全体最適化を実現し、よどみない生産の流れを目指しているのです。
なお、「生産の流れをつくる」はトヨタ生産方式の元トヨタ自動車副社長大野耐一氏が掲げたコンセプトです。
利益に繋がる社長のための生産管理3つのポイントに着目して独自の「型」をつくりませんか?