「生産性ロードマップ戦略」—儲かる工場経営を目指して—第86話 フォローや評価抜きに人を動かすことはできない
貴社ではPDCAサイクルが止まっていませんか?
ご支援の中で経営者や経営者層、さらには現場リーダーの方々へ繰り返し、繰り返し、繰り返し伝えていることがあります。
それは、フォローと評価の重要性です。現場の持続的なやる気を引き出すのに欠かせないからです。
中小現場の管理者時代のことです。
あるとき、経営幹部から現場へ新たな活動の指示がありました。
赤札作戦です。
当時、私は前職の現場で何度か実戦したことがあり、経営者が先頭に立ってぐいぐい進めると効果があると実感していました。
ですから、それをここでもやるのはいいことだと活動の成果に期待をしていたのです。
ところが現場の若手から出てきた言葉は意外なものでした。
「わざわざやっても、どうせ、また、だめですよ。」
赤札作戦では、現場の不要品を見つけ、それらを捨てます。
潜在的、顕在的な現場の問題を見える化する手段です。
現場で一斉に、経営者層もいっしょになって、やるところに意義があります。
捨てるか捨てないかの判断も経営者層がその場で即決、判断できないことは、後日、経営者判断で実行します。
参加者全員が様々な判断に関わるので、一体感を持って進められるのがこの手法のいいところです。
しかし、その職場では、そうした成果を期待できないと、その若手は言うのです。
なぜ?
「これまでも、いろいろやってきましたけど、その後の対応がないことが多くって、最後まで進まないんです。
後で考えようという話になっても、そのまま、ずるずる日が進んで、そのうちに忘れられることがほとんどだったので、今回もどうせ、同じです。
伊藤さん、成果を期待しても無駄ですよ。」
PDCAサイクルを回すという言葉があります。
問題、課題を解決する一連の流れであり、手法です。
計画を立て、実行し、評価して、対処する。
成功するまでやめなければ失敗はないと、しばしば言われますが、これもPDCAサイクルが回り続けるから、そうなるのであって、サイクルが途切れば行き詰まります。
ことをやり遂げる、やり切る勘所を提示している、意味深い言葉です。
改善活動が継続できない問題を抱えている中小現場も少なくないです。
原因はどこにあるのか?
PDCAサイクルのうちのC(評価)が弱いことがあげられます。
皆さんも振り返って下さい。
PとD、つまり計画して実行するまでは、多くの現場でやられています。
計画を紙面に現わすか否かはありますが、経営者は、少なくとも緩やかにでも計画のスケジュール感を頭の中に描くのではないでしょうか。
そして、実行。実行力のある現場は、まずはやってみようという姿勢です。
これは大いに好ましいことなのですが・・・・・、その後がいけません。
実行した結果を上司が評価し、その結果を受けて対処しているでしょうか?
先の若手も、結局、やった結果について上司からのフォローや評価もなく、行き詰まっても、その問題が放置されるだけ・・・、つまり、なんでも「やりっぱなし」であるということを言いたかったわけです。
全社計画でC(評価)が抜けていました。
やる気を引き出す3つのポイントの観点からも、これではまずいです。
指示を受けて、頑張った結果を気にしてくれないというのでは、現場は有能性を感じることができません。
マズローの欲求5階層説をのうちの承認と自尊の欲求の話を出すまでもなく、昨今は、SNSでの「いいね」欲しさに情報発信をし、「インスタ映え」を気にする時代です。
フォローや評価抜きに人を動かすことはできません。
ですから、ことをやり遂げる、やり切るためにはPDCAサイクルのC(評価)を強化するのです。
そして、評価には、客観的な判断基準がなければならず、計画段階で、現状を把握し、望ましい状態を数値化、定量化しておくことも必要です。
ですから、C(評価)のためには、現場の見える化も必要となります。
弊社のご支援で時間をかけるのは工程管理の仕組み作りであり、その目的は見える化です。
現場の活動がことごとく見える化されてこそ、初めてPDCAを継続的に回す環境が整備されるからです。
ことをやり切る、成し遂げるためにC(評価)を強化してください。
フォローや評価抜きに人を動かすことはできません。
それと同時に工程管理の仕組みで見える化を図るのです。
弊社が貴社の後押しをします。
C(評価)の強化で儲かる工場経営を実現させましょう。
C(評価)を強化する仕組みづくりをしませんか?