「生産性ロードマップ戦略」—儲かる工場経営を目指して—第56話 プロジェクト形式の活動で若手人財を育成する

貴社ではプロジェクト形式の活動を現場に取り入れていますか?

 

製造現場で、最初にやるべきことは生産管理の仕組みづくりです。

弊社では生産管理の視点で現場をチェックします。

”流れ”に着目し、滞っているところを見つけるためです。

 

ムダの存在を現場で共有してもらうことが仕組みづくりのスタートであると考えています。

そして、儲かる工場経営の仕組みづくりでは、生産管理体制を構築しながら改善活動を進めます。

生産管理体制の上で改善活動が展開させるためです。

 

成果や効果が客観的に判断できない改善活動の利益への寄与度は限定的です。

繰り返し申し上げているように、部分最適にとどまる改善活動になってしまいます。

 

 

 

 

 

改善活動の前に、見える化の整備が欠かせません。

そして、生産管理の目的が、その「見える化」なのです。

 

工程指標を設定します。

そうして現場の標準化とモノづくり連鎖の全体最適化を進めるのです。

5年先、10年まで使い続けられる仕組みを目指すのなら、生産管理体制の構築は、不可欠です。

 

貴社の現場の見える化が整備された上で、改善活動、さらには、コア技術の深耕と強化を進めます。

そもそも、取り組みの成果を客観的に判断できなければ、適正な活動を継続できません。

客観性に欠けた、思い付きの仕事に陥るのです。

 

製造現場での仕事は、”比較”することが求められます。

顧客仕様、経営者が掲げた目標、現場リーダーが掲げた目標、現場が自主的に掲げた目標。

これらの目標は、「目指すべき状態」を示しており、現状との比較対象です。

 

「見える化」は、こうした比べることを可能にします。

貴社でムダの存在を共有した後に、やるべきことは、生産管理体制のチェックです。

必要な仕組みがあるのか、ないのか、確認します。

 

そして、仕組みとして欠けているところ、強化すべきところがあれば、そこに注目です。

そこから、仕組みづくりを始めます。

 

 

 

 

 

生産管理に着目した儲かる工場経営の仕組みづくりは、上記のようにスタートさせます。

そして、一連の取り組みを「プロジェクト」で進めるのが効果的です。

特にやる気のある若手人財をプロジェクトメンバーに指名します。

 

「プロジェクト」で進めることをお伝えしているのは、人財育成に効果的であると考えているからです。

プロジェクトの立ち上げを通じて、経営者の想いを現場へ伝えることができます。

通常業務に加えて、プロジェクトチームが中心となる新たな業務を立ち上げるのです。

 

現場は、こう思うはずです。

「社長は何かを始めるな。」

 

経営者はプロジェクトの目的、プロジェクトチームについて繰り返し語ります。

現場は経営者の想いを理解するとともに、指名されたプロジェクトメンバーも期待されていることを実感せずにはいられないでしょう。

経営者に期待されて頑張らない若手人財はいません。

 

プロジェクトでは、目標と納期を設定します。

したがって、若手人財は仕事の進め方を体得するのです。

 

目標と納期を自ら設定する点が、通常の生産活動とは異なります。

生産活動の納期は顧客が設定します。

 

プロジェクトは自律的な取り組みです。

自らの仕事をコントロールできるので、複数のプロジェクトを進めることができます。

 

 

中小現場の管理者時代、複数の現場でプロジェクト形式の仕事を進めてみました。

各現場でも若手、中堅のメンバーが中心となって仕事を進めてくれました。

現場のベクトルを合わせるのにも効果的でした。

 

プロジェクトで仕事を進めるなか、若手人財は、多くのことを学んでいたようです。

議論の進め方。

現場でのデータのとり方、まとめ方。

統計的な視点の品質管理のやり方。

IE手法。

などなど。

 

当時、プロジェクトを進めるやり方を教えることが、現場のノウハウの蓄積につながると感じました。

長く使える仕組みづくりを目指すなら、「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教える」ということです。

 

プロジェクトでいろいろなことを経験した若手人財の何名かが、後日、「これまで知らなかったことを身に着けることができました!」と話してくれました。

プロジェクトで、若手人財は多くを学べると確信したのです。

 

 

 

 

 

さらに、プロジェクトが、成功体験を積み重ねる機会をつくる点も見逃せません。

小さなプロジェクトを組み合わせれば、小さくても成功体験を積み重ねる経験を若手にさせられます。

 

日常の生産活動では納期は遵守してあたりまえ、品質維持もできて当然とされます。

日常の生産活動だけでは、自律的な活動を通じた達成感を感じる機会は少ないのです。

 

役に立っているという有能性を感じることで、ますますやる気が引き出されます。

ですから、人財育成を目的としたプロジェクト活動にも価値が出てくるのです。

 

 

 

 

 

仕事のやり方は、仕事を通じてしか身に付きません。

また、仕事には”手法”が大切ですが、”根性”や”胆力”も必要です。

 

組織で成果を出すには、人とのかかわりがあり、乗り切るべきこともたくさんあるのです。

そうしたことも、仕事を通じてしか、学ぶことができないものです。

 

プロジェクト活動は、若手人財にそうした機会も与えてくれます。

加えて、仕事をコントロールする術も体得できるのです。

 

経営者なら、現場のノウハウは、人ではなく、組織や仕組みに定着させたいはずです。

仕組みづくりを経験した若手人財は、現場のノウハウを、組織や仕組みにどんどん蓄積してくれます。

 

生産管理の体系を軸にした儲かる工場経営の仕組みづくりを、プロジェクトで進めれば、貴社独自の仕組みづくりのやり方が組織に定着していくのです。

これは、5年先、10年先でも使えるノウハウとなります。

現場力も高まるのです。

 

 

 

 

 

儲かる工場経営は、生産管理体制の構築からはじめて、改善活動の定着化、コア技術の深耕と強化と息の長い活動です。

仕組みづくりは一気呵成に進められても、利益を生み続けるには、その仕組みを地道に、継続的に機能させる必要があります。

 

仕組みづくりは、外部の力を得れば効率的に構築することができます。

しかし、その仕組みを地道に、継続的に機能させることは、現場力がなければできません。

 

ノウハウの蓄積を可能にするため、若手人財の育成目的も兼ねて「プロジェクト」で仕組みづくりを進めるのはそのためです。

現場のノウハウを組織や仕組みに蓄積したいと考える経営者なら、プロジェクト形式の活動を取り入れるべきです。

若手人財のやる気を呼び起こすことができます。

 

プロジェクトで若手人財のやる気を引き出す仕組みをつくりませんか?