「生産性ロードマップ戦略」—儲かる工場経営を目指して—第139話 付加価値額を積み上げる具体策

現場活動の成果を何で計っていますか?

「生産工程に空きをつくって、そこへ新たな受注を入れることの繰り返しですね。」

昨年来、儲かる価格設定の仕組みづくりを進めている経営者の言葉です。

 

弊社では「将来投資型固定費戦略」が持続的な成長に欠かせないと考えています。固定費を将来投資とみなすか?それとも費用と見なすか? これが論点です。

具体的な事例はセミナーやご指導のなかでお話ししていますが、従業員が明るい見通しを持たない限り、現場改革は起こりません。

職場の明るい展望を知ってから、従業員は”先のこと”を考え始めます。明日の就業環境について不安を抱えている状況で経営者が現場を鼓舞しても、現場改革、技術改革を起こせないのは火を見るより明らかです。

若手のみならず、中高年層の非正規雇用者が直面している問題を知れば納得されるのではないでしょうか?

 

多くの経営者に「将来投資型固定費戦略」を実践していただきたいと強く考えています。伊藤が中小現場の管理者時代、この戦略を通じて、赤字職場を黒字化させました。(当時、戦略というほど明確な形にはなっていませんでしたが、考え方はまさにこれです。)

弊社が強くお薦めするのは、多くの経営者が願っている「従業員の幸せ」を実現させる具体策だからです。結果として、それは儲かる工場経営へ繋がります。

工場経営の本質は”他人を通じて”経営者の想いを実現させることにあるので、現場の主役に活気がなければ、儲かる工場経営を実現できないのは当然のことです。

 

この戦略では、付加価値額を積み上げる現場力が問われます。ですから、5S、カイゼン、赤札作戦、あらゆる現場活動の成果を付加価値額で計ります。計れなければ、お金を生み出さない現場活動となっている懸念があるわけです。

 

ある板金メーカーの話です。

塗装工程で塗装ハンガーに工夫を加える現場活動を展開したことがあります。塗料の塗着効率を高める、時間当たりの塗装数量を増やす、こうした効果を狙ったものです。

現場メンバーのチームワークと知恵のおかげで、”塗装工程”としては、素晴らしい結果が得られました。

 

しかし、残念ながら、その成果がお金に結び付くことはありませんでした。なぜなら、後工程の問題が放置されていたからです。

塗装工程の後工程は梱包工程でした。梱包工程は慢性的に工数不足、ここが生産能力の律速段階、つまりボトルネックだったのです。

 

ボトルネックを解消しない限り、特定工程の成果が全体へ波及しないことはご存じのとおりです。”塗装工程”で成果はあったものの、”全工程”の成果までには至りませんでした。

全体最適化の視点抜きに、付加価値額を積み上げる具体策を立てることはできないのです。

冒頭の経営者の言葉は、付加価値額を積み上げる具体策のひとつであり、全体最適を見通せる経営者にしか判断ができないことでもあります。

 

 

 

 

 

儲かる工場経営の要諦は、顧客に選ばれる製品を効率よく造ることです。現場の足腰の強さ、基礎体力は、この要諦の実践具合に現れます。

売上高=価格×販売数量(生産数量)

儲かる工場経営はこの式でも表現できます。売上高を積み上げ、付加価値額を積み上げます。シンプルですが、本質です。したがってチェックすべきことが2つあります。

 

・価格をアップさせるために、製販一体で何をしているか?

・販売数量(生産数量)をアップさせるために、製販一体で何をしているか?

皆さんの工場経営を振り返ってください。結果としての価格、結果としての販売数量では戦略になっていません。仮説を立て、実践して、結果を検証、次の手を考えます。冒頭の経営者の言葉は、特に後者、販売数量を戦略的にアップさせる具体策です。

 

ここで、販売数量(現場にとっては生産数量)をアップさせる方程式に注目します。

1)稼働時間A = サイクルタイム  × 生産数量 

2)稼働時間B = 平均リードタイム × ロット数

この2式で、個別生産、ロット生産、連続生産の全てを網羅できます。

 

1)式の生産数量をアップさせるにはどうするか?

2)式のロット数をアップさせるにはどうするか?

それぞれ考えれば、現場でやるべきことが明らかです。

・サイクルタイム  ↓

・稼働時間A    ↑

・平均リードタイム ↓

・稼働時間B    ↑

以上の4つです。

 

そして、多くの中小現場は、受注生産形態のロット生産や個別生産です。特に注目すべきは、後者の2つ、平均リードタイムと稼働時間Bとなります。

この2つへメスを入れるのです。前倒し生産を実現させ、新たな案件を取り込む「空き」をつくります。これが、付加価値額を積み上げる「余地」となるのです。

 

納期に合わせた仕事のやり方をしている現場では生まれてこない発想です。ですから、全体最適を見通せる経営者が、成功のストーリーを設定しなければなりません。

「空き」へ入れる新たな受注案件を考える必要もあります。このストーリーを明らかにすれば、現場活動の必然性を感じられるでしょう。

 

 

 

 

 

新たな受注案件を取り込むことで、平均リードタイムが短縮され、月当たりに受注できる案件数が増えます。その結果、付加価値額を積み上げる速度が速まり、儲けの見える化で、その成果を実感できるのです。

そこから、さらならる前倒し生産へ挑戦し、新たな受注案件を取り込む「空き」をつくります。。。。。。この繰り返しです。繰り返しにより、現場の基礎体力が向上します。さらに、IOTのような現場を支援する技術を活用すれば、取り組みも加速されるでしょう。

道具を活用しながら、日々のトレーニングで、少しずつ、確実に筋力アップをしようと頑張るアスリートと同じです。

 

生産工程上、付加価値額を積み上げるのに必要なのは「空き」です。ボトルネックを見極め、その解消を図り、各工程が連携して全体最適化を実現させれば、「空き」が生まれます。

中小の現場では、特に平均リードタイムと稼働時間B、つまり時間軸を意識したモノづくりが求められます。時間軸を意識してこそ、継続的な付加価値額の積み上げを実現できるからです。その先に「将来投資型固定費戦略」があります。

 

皆さんご自身も、今の仕事のやり方のままでは、生き残れないとお感じになっているのではないでしょうか?仕事のやり方を是非、変えてください。

変えることに挑戦してください。

弊社は挑戦する経営者の後押しを力一杯して参ります。

・成長する現場は、空きをつくりながら筋力アップをする。

・今の仕事のやり方でいいと思い込んでいる現場は、これ以上の仕事はできないと考える。

生産工程の空きを見える化しませんか?