「生産性ロードマップ戦略」—儲かる工場経営を目指して—第213話 指示したことを必ずやらせる思考回路づくりとは?

「これまで何度かやろうとしましたが、続きませんでした。」

 

先日の個別相談で、鋼板加工メーカー経営者から生産性向上のご相談がありました。

これまでの経緯を伺ったところ、現場活動に取り組んだことは何度かあるとのこと。技能伝承が喫緊の課題と考えている経営者です。

 

ベテランから若手へのスキル伝達を仕組み化したいと考えています。そこで、現場活動に着手するわけです。工程別のチームで話し合いをするよう指示します。

ベテランから若手へ技能を定期的に教える場を設けよう、手順書をつくろう、写真やビデオを活用しよう・・・。こうした具体策が出てきます。

そうして現場で実践しますが、それが続かないというのです。継続せよとフォローをするものの、生産活動が忙しい等の理由で活動が続きません。

そのうちに経営者も諦めて、元に戻ってしまいます。冒頭の言葉です。

 

 

 

 

 

儲かる工場経営の要諦は「顧客に選ばれる商品(製品、サービス)を効率よくつくる(提供する)こと」にあります。

削減の時代から積み上げの時代に変わった昨今、「効率よくつくる」ことの重要性に変わりはないですが、「顧客に選ばれる」ことの優先度が高まっています。

黙って受注が届く時代は過ぎました。生産活動に加えて、一層の付加価値額を積み上げる仕組みづくりが貴社の命脈を保つのに欠かせなくなっています。どうでしょうか?

 

言われたものを言われたようにつくっていても儲からなくなった・・・。多くの経営者が直面している問題です。

営業活動、企画・開発、設計という製造現場以外の活動に焦点が当たってきます。製販一体のモノづくりです。「外の活動」に軸足を置いた取り組みです。

したがって、「内の活動」を現場に任せないと、経営者の仕事は楽になりません。経営者が不在でも「内の活動」を自律的に回せるようになりたいのです。

 

 

 

 

 

「内の活動」を自律的に回したい経営者は現場へ指示します。そして、一旦、指示したら、経営者は指示したことを必ずやらせないとなりません。

指示したことがなされない現場はチームと言えないからです。単なる人の集まりです。チームの損得ではなく、自分の好き嫌いで仕事をします。

地域の同好会ならいざ知らず、企業であるなら、あってならないことです。したがって、経営者は指示したことを絶対にやらせないといけないのです。

 

連合艦隊司令長官の「全軍、出撃!」の指示に従わない軍艦があったらどうなるでしょうか。好き嫌いで戦っているのではなく、勝つために戦っています。

司令長官は勝つために指示を出しているのです。勝つ意思がなければ、従わない軍艦があっても放置しておくでしょうが、そもそも、そんな司令長官はいません。

 

 

 

 

 

私達は勝つために戦っています。生き残るためにやらせなければなりません。現場へ指示したら、やらせるまで諦めないことです。

経営者が諦めてしまうと、ある思考回路が現場に定着してしまいます。

「社長が、また言っている。どうせそのうち諦めるからやり過ごせばイイ。」

こんな思考回路が現場に定着すると、経営者の指示は放置してかまわないと考えるようになります。経営者ご自身が指示したことを諦めるとはそういうことです。

 

非常時に直面し、いざ、鎌倉へ!というときですら意思統一ができず、現場の馬鹿力を引き出すことができません。これは現場が悪いのではなく、そんな思考回路を現場に定着させた経営者のやり方が間違っていたということです。

人時生産性を高める活動とは現場改革そのものです。トップの毅然とした姿勢や覚悟がなければ、指示したことが徹底されず、改革が進みません。時間ばかりが過ぎます。

 

「内の活動」が現場で自律的に回らない限り、経営者はいつまでたっても楽にならないのです。結局、諦める経営者は自分で自分の首を締めています。

 

 

 

 

 

経営者からの指示が「また言っている・・・・」と受け流される状況は放置できません。解決する方法はただひとつ。諦めないことです。指示した以上、絶対にやらせることです。

経営者の指示を受けた作業者の頭の中に、2つの事が浮かぶようにします。

「社長が、また言っている。どうせ・・・」ではなく、

「どうやればいいだろうか?」、「いつまでにやればいいだろうか?」です。

そうして、進捗をフォローし、最後に評価して取り組みを締めます。

 

1)指示したことをやるための具体策と納期を伝える

2)進捗をフォローし、最後に評価する。

この2つです。こうして本気を現場へ伝えます。

 

「人時生産性を高めたいのでリードタイムを短縮させよ。」という指示を出すなら・・・。

「今、現場に積み上がっている製品Aと製品Bの仕掛品をゼロにする流し方を考えよ。」と具体策の示しながら、「半年後の2月末日までに新たな手順書をつくれ。」と納期を伝えるのです。後は、毎月1回、進捗を現場で確認し、2月末日に成果を評価します。

 

評価をすれば一区切りです。ここで取り組みをクローズさせるか?継続させるか?は経営者が判断します。指示は評価とセットです。

評価を加えると、「まただ・・・」はなくなります。「社長の指示を期限に内に終えるには、どうやろうか?」と考える思考回路が定着するのです。

先の経営者は納期の設定、フォローと評価のやり方に工夫の余地があると考えています。

 

 

 

 

 

やらないと抵抗しているように見えて、実際のところ、どうやればいいのか分らずに困っているのかもしれません。やっていないように見えて、実は、期限が見えていない取り組みに戸惑っているのかもしれません。

指示を出したら、やり切るまで諦めないことです。諦めると、経営者の指示は放置しても構わないという雰囲気ができてしまいます。

 

これではいつまでたっても、経営者は楽に仕事ができません。指示+具体策+フォローと評価。評価で取り組みを締めます。

「社長は結果を気にしている」と考えるようになれば、経営者の指示をスルーすることなどあり得ません。

 

先の経営者はプロジェクト式の取り組みで新たな活動の準備をしています。時間軸と一緒にマイルストンを設定し、諦めない本気を見える化することにも挑戦です。

経営者が「外の活動」に時間を割くための仕事場づくりです。

次は貴社の番です!

 

成長する現場は、経営者の指示をいつまでに、どうやろうかと考える。

停滞する現場は、経営者の指示は放置しても構わないと考える。