「生産性ロードマップ戦略」—儲かる工場経営を目指して—第39話 工場経営はフォールトトレランスで考える

工場経営はフォールトトレランスで考える。安全装置としてチームオペレーションを機能させる、という話です。

 

問題やトラブルが起きても工場経営を継続させられますか?

工場経営の機能を継続させるための安全装置がありますか?

 

 

機械やシステムが事故や誤りを起こしたとき、安全な方向へ導くことで損害を最小化できる場合があります。

万が一のとき、機械やシステムを安全な方向へ導く設計思想がフェールセーフです。

地面を走る自動車は問題が発生したとき止めます。

万が一のときはエンジンの回転を止める方向へ対処すればいいわけです。

電車や船舶も場合も同じです。

止めることが安全な方向へ導くことになります。

 

 

 

それでは、飛行機の場合はどうでしょう?

空を飛んでいる飛行機は車や電車のように止めても安全な方向へ導くことができません。

止めてしまっては失速して墜落です。

ですから、飛行機ではフェールセーフとは異なった設計思想が求められます。

飛行機で必要なのは、事故を起こさない対策です。

複数の安全装置を設置します。

空高く飛んでいる飛行機には、停止による”絶対的な”安全状態がありません。

重力が働いている地球上では、飛び続けることで、安全を確保しているわけです。

事故や誤りが発生しても、原則、飛び続けなければ安全な状態を維持できません。

したがって飛行機では事故や誤りが発生しても機能を継続させます。

空で「停止する」事態を絶対に起こさないように、何重にも安全装置を設定するのです。

こうした設計思想がフォールトトレラントです。

例えば、主電源がダウンすることに備えて予備電源を設置する電源の二重化はフォールトトレラントになります。

事故や誤りが発生しても機能を継続させるのです。

 

 

 

万が一が発生したら安全方向に導くのがフェールセーフ。

万が一が発生しても機能を継続させるのがフォールトトレランス。

フォールトトレランスは直訳すると「失敗への許容」。

失敗が起きてもそれが致命的にならないことを目指します。

言い換えれば、そもそも事故を起こさないことを目指しているとも言えます。

工場経営はフォールトトレランスで考えます。

 

 

 

企業は変化適応業や変化創出業と言われます。

外部環境の変化に迅速、機敏に対応し続けなければなりません。

工場経営は飛行機のように空を飛び続けているようなものです。

停止することは許されません。

事故や誤りが発生しても、原則、飛び続ける必要があります。

ですから事故や誤りが発生しても、機能を継続させるための安全装置が欠かせません。

人材不足、品質クレーム、労災、売上高減、赤字転落・・・・・。

様々な問題に経営者は直面します。

どんなに厳しい問題に直面しようとも、どんなにつらい状況に陥ったとしても、工場は稼働させなければなりません。

止まることは許されません。

ですから、工場経営のフォールトトレランスを充実させます。

では、工場経営のフォールトトレランスとはなにか?

 

 

 

工場経営のフォールトトレランスで機能させたいのが、チームオペレーションです。

チームオペレーションとは使命感に基づいたチームワークです。

経営者は、使命感に基づいたチームワークが機能しているチームを手に入れたい。

経営者にとって力強い右腕となるチームです。

 

 

 

10人程の自動車部品生産ラインの管理者を担っていた時、品質クレームを発生させたことがあります。

品質保証体制が仕組みとして構築されていた現場ではなかったので対応に追われました。

トラブルの現状復帰に必要なエネルギーは莫大です。

ほとんど3ケ月間、現場での原因究明、お客様への対応、対応策の検討で他のことはできませんでした。

しかし、当然ながら生産活動は続けなければなりません。

そのとき、現場リーダーを中心にした現場のチームワークに救われました。

生産活動は100%、チームに任せたのです。

それまでも、現場リーダーとのコミュニケーンを重視していました。

現場の生産状況を目で見る管理ができるような仕組みづくりも進めていました。

その結果、品質クレームに掛かりっきりの管理者に代わって、現場リーダーを中心としたチームが日々の生産活動をしっかり管理してくれました。

使命感の基づいたチームワークを発揮してくれたのです。

チームオペレーションを機能させることの大切さを実感した出来事でもありました。

 

 

 

工場経営は止まることが許されません。

市場環境の変化の幅も大きく、頻度も高まった昨今、経営者一人で工場経営すべてを担うことは無理です。

チームオペレーションを機能させる重要性は今後ますます高まります。

 

 

若手人財のやる気を呼び起こしてチームオペレーションを機能させる仕組みをつくりませんか?

 

まとめ:工場経営はフォールトトレランスで考える。安全装置としてチームオペレーションを機能させる。