「生産性ロードマップ戦略」—儲かる工場経営を目指して—第50話 10年使い続けられる仕組みを手にするために

貴社では、つくった仕組みが長い間、機能していますか?

 

弊社は、儲かる工場経営の仕組みづくりをご支援しております。改善活動と生産管理を切り口として、プロジェクトで一気呵成に仕組みを作り上げます。

経営者から任命を受けたチームがプロジェクトを進めるので、チームが現場に対して求心力を持つことがカギです。

したがって、プロジェクトを開始して、短期間で成果を実感できる取り組みを設定します。仕組みづくりに先立ち、プロジェクト自体を軌道に乗せるための、欠かせない仕掛けです。

チームのメンバーには、次世代を担う若手人財もいます。若手は、現場で実績を上げ、それを評価されると、一層、頑張ってくれるものです。

若手は、ノリがいいですから、彼ら、彼女らのエネルギーの生かさないのは、とてももったいないと感じます。

現場の中堅、若手のやる気を生かすことで成果を出せた場面を、何度も、中小の現場で見てきました。

プロジェクトを成功させるには、まずチームに求心力を持たせることです。活動自体が滞らないようにします。

そのための仕掛けの内容ややり方は、ケース・バイ・ケースです。チームを構成するメンバーや組織風土、組織文化次第です。

そうして、どのようなケースであれ、仕組みづくりで、意識していることがあります。

それは、仕組みの定着です。

 

 

 

経営者が願うのは、安定して儲かる工場に至ることです。

外部環境は変化します。したがって、現場が、外部変化へ適応できることが大切です。

そこでは、現場が、自律的にPDCAを廻したくなるプラットフォームが欠かせません。

それが仕組みです。

経営者が現場にいなくても、経営者の意図を理解して、仕事ができる枠組みです。

5年、10年と続く仕組みがあってこそ、次世代を担う若手も、会社を信じて仕事に打ち込めます。

 

 

 

何かの機会で仕組みを作るけれども、いつのまにかうやむやになり、元の木阿弥という現場がありました。

そうした現場は、疲弊します。特に、意欲のある若手はストレスを感じます。

仕組みは、見方を変えれば、「ルール」です。現場でモノづくりをする際の規則の役割もします。

ですから、仕組みが定着していない現場はどうなるか・・・。現場には、上司からの生産指示を、適切に処理する判断基準が無いわけです。

一方、上司も、現場の細かいことは把握できていません。いきおい、指示を出してから後、現場へ丸投げです。

そして、判断基準があろうが、なかろうが、現場は、生産指示に提示された「納期」だけは遵守しなければなりません。納期遅れを出せば責任を問われます。ストレスを感じるわけです。

 

 

 

仕組みの構築には、現場を丸裸にするほどの分析が必要です。現場の実績から、生産能力を算出、評価するなど、手間のかかる地道な取り組みが欠かせません。

経営者の強力なリーダーシップがなければ、仕組みを構築し、現場へ定着させることは難しいのです。

さらに、留意したいことがあります。仕組みはつくるよりも、機能させ続ける方が難しいということです。

 

 

 

 

 

弊社では、仕組みをつくるとき、経営者が5年、10年、使い続けられることを最終の目標とします。これが仕組みづくりのゴールです。

そうした仕組みがあれば、現場は、安心して仕事に打ち込めます。

ですから、仕組みのつくりっぱなしは、だめです。

セミナー等で、仕組みの4項目や付帯的な項目をお話ししています。仕組みを構成する要因は当然に大切です。改善活動や生産管理が、利益につながらなければならないからです。

しかし、それ以上に重要なことがあります。

仕組みをつくった後の経営者の対応です。

対応の如何で、仕組みがうやむやになるか、10年先も使い続けられるかが決まります。

つまり、フォローと評価です。

仕組みを通じて得られたアウトプットへのフォローと評価です。

経営者は、仕組みを通じて、自分たちの仕事ぶりをしっかり把握してくれている・・・。

このように、現場へ感じさせるかどうかです。

 

 

 

フォローと評価の役割は大きいです。

そもそも、フォローと評価は、経営者にしかできません。代替えのできない仕事です。

経営者の立場では、フォローと評価は、仕組みの修正・変更の機会となります。経営者の意図したこととズレがあれば、仕組みを修正・変更すればいいわけです。

客観的な判断ができます。こうした修正・変更を重ねながら、経営者の想いを、仕組みへ反映させるのです。

そうして出来上がった仕組みは、それ自体が、組織文化や組織風土とも言い換えられます。

一方、現場は、自分たちの頑張りがフォローされ、評価されることを実感し、仕組みを生かそうとします。

現場は、成果をしっかり評価して欲しいと考えているのです。ですから、フォローと評価がしっかりしている仕組みなら、現場は、自然とPDCAを廻したくなります。

現場が使いたいと考える仕組みは、必ず定着し、5年でも、10年でも続きます。

 

 

 

「また、指示のしっぱなしで、その後が無いね。」

こうした声が、現場から出なけば、仕組みは定着し、機能し続けます。経営者の代わりに現場を励まし、ときには叱咤する、頼りになる経営資源を手にできるのです。

貴社、独自の仕組みは、模倣困難な強みになります。時間をかけて作り上げた仕組みは、経営者の代わりに、しっかりと働いてくれるのです。

 

じっくり、腰を据えて、これから5年でも、10年でも機能する仕組みをつくりませんか?