「生産性ロードマップ戦略」—儲かる工場経営を目指して—第67話 貴社事業のステージを一段上げるときに考えること

過去の成功体験の延長線上に解決策がありますか?

 

個別相談などで経営者の方々とお話していると、ふと違和感を感じるときがあります。

先週もそうしたことがありました。

 

5年先、10年先を見通して、自社を豊かな成長路線へ乗せることを望まない経営者はいません。

そうして、従業員と従業員の家族の豊かな成長、継続的な幸せを実現し、その結果として、独自技術が広く社会の役に立つのです。

そのためのモノづくり戦略を策定する仕事は、経営者にしかできない仕事であり、だからこそ、弊社も全身全霊を込めてご支援しております。

 

 

 

規模に関係なく、モノづくりに専念してきた企業なら現場には必ず独自の強みがあります。

なぜなら、その独自性を評価して貴社を選んでくれる顧客がいるからです。

10年、20年と事業を継続させてきた実績が証左です。

 

その強みを将来へ向けてどう生かすか、

①ストーリーづくり、

②経営資源配分(主に人材配置)。

モノづくり戦略とはこの2つを決めることです。

5年先、10年先の見通しを現場へ示します。

 

 

 

さて、私が大手の現場から働く場を変えて、複数の中小の製造現場で仕事をすることになったとき、中小の現場で感じたことがありました。

それは、「生産の流れが見えなかった」ということでした。

そのため、届いた受注情報に基づいて、最適なQCDを目指した生産活動をするのに、

現場がどのような対応をしているのか、

今どのような状況にあるのか、

これからどうしようとしているのか、

等、状況を理解するのに時間がかかりました。

 

「生産の流れが見える」状態とは、物理的に工程間が結ばれているだけではありません。

物理的に工程間が結ばれていても、モノが流れない状況があります。

 

工程間の人が連携していない、適切な情報が届いていない。

モノといっしょに、人と情報も適切に機能しないと、生産の流れは見えてこないことを知ったわけです。

 

 

 

生産の流れが見えるようになって初めて、現場をコントロールできます。

利益を生み出す現場独自の方程式を組み立て、最適解を得る活動が可能となるのです。

 

特に管理が難しかったのは、工程間の仕掛品。

管理が難しかったのは、現場任せの管理になっていたこと、つまり、現場を貫くルール不在が原因でした。

 

この問題は、部分最適化で解決できません。

全体最適化の経営者視点で、解決させる問題です。

 

中小の現場は、その規模故、力づくで回すことは可能です。

これまでなら、それでもよかったでしょう。

 

しかし、多品種化が進み、ロットも小さくなっていく中で、圧倒的なQCDを達成して利益を生み出すためには、仕事のやり方を変えなければなりません。

 

 

 

私が、複数の中小の製造現場の管理者時代にやってきたことは、モノと人および情報の流れを作って「生産の流れが見える」ようにすることでした。

現場の今日の稼働状況がわかること。

明日の稼働予定がわかること。

さらに、1週間単位の稼働予定がわかること。

この3つを見えるようにするだけでも、現場は変わりました。

 

分かれば、工夫をしたくなるのが現場です。

フォローと評価のセットと共に、継続的に実行できる、新たな仕事のやり方を現場へ定着させます。

 

私が中小の現場でやってきたことは、生産の流れをつくるという儲かる工場経営の王道です。

特別なことではありません。

しかし、それまで、そうした仕組みがなく、属人的な頑張りで、なんとかやってきた現場にとっては、革新的なことでした。

 

多品種化が進み、価格も下落傾向にある中で、利益を獲得し続けるのに、従来の仕事のやり方では限界があると、現場は、特に若手は、感じていました。

現場の仕事を「つらい」と感じることが増えつつあったのです。

 

「仕事のやり方が変わりましたね。」

現場の若手にこのように声をかけられたときはうれしかったです。

変わることで、前進できることを実感してくれたからです。

こうした若手の多い現場は挑戦する姿勢を持ってくれます。

 

 

 

このような仕組みづくりでは、奇をてらった特別なことをやるわけではありません。

王道を行きます。

 

ただし、それまで、そうした仕組みがなく、属人的な頑張りで、なんとかやってきた現場にとって、この新たな仕組みは革新的なことです。

ですから、貴社事業のステージアップを考えるとき、まず「変えること」を念頭に置いてください。

 

結局、現場の構造改革をやることになります。

つまり、従来の仕事のやり方の延長線上に、最適解はないということです。

 

すでに行っていることを上手くやろうとするのか、全く新しいことをやるのか、両者ともに前向きの取り組みではありますが、取り組み方、得られる成果は全く違います。

前述した「違和感」の原因は、両者の差をを感じたことにありました。

弊社のご支援は後者です。

 

経営者の中には、前者で考えている方もいます。

そちらに関しては、貴社でやられた方が間違いがないですとご説明申し上げています。

 

なぜなら、「すでに行っていること」は、現場が一番知っているからです。

わざわざ、外部の力を導入しなくても成果は出ます。

 

しかし、貴社事業のステージアップを考えるとき、それは、新たなことへの挑戦です。

それであるなら、外部の力を活用して、時間をお金で買う、つまりノウハウへの投資は効果的です。

経営者は、すでに行っていることを上手くやろうとするのか、全く新しいことをやるのか、切り分けてモノづくり戦略を立てます。

 

弊社がご支援するのは、生産管理に基づいた「生産の流れ」をつくる仕組みづくりです。

付加価値額生産で成果を図ります。

つくった仕組みを回し始めるところまでご支援します。

そして、その仕組みを使って成果を出すのは貴社です。

 

ちなみに、「すでに行っていることを上手くやろうとする」、「全く新しいことをやる」との表現はドラッカーの言葉です。

ドラッカーは企業家精神を次のように説明しています。

「企業家精神とは、すでに行っていることをさらに上手に行うことではなく、まったく新しいことを行うことである。」

 

貴社事業のステージアップのために、全く新しいことをやるしくみをつくりませんか?