「10年ロードマップ戦略」—儲かる工場経営を目指して—第13話 モノづくり現場におけるIOTの役割とは何か?

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モノづくりの本質を強化するには、2つの変換、

1)現場のモノづくり(コア技術、カイゼン) → 製品やサービス

2)製品やサービス → 顧客の利便性(付加価値)向上

の質を高める。

「変換の質を高める取り組み」こそが重要であり、IOTは、その取り組みを加速させる道具である、という話です。

 

モノづくりの本質を現場と共有できていますか?

モノづくりの本質を強化するために「具体的」にやるべきことが浮かびますか?

 

 

 

自分たちが持っている強みで、顧客の利便性を高めることがモノづくりの本質です。

コア技術を生かし、カイゼン等の手法も駆使しながら、質の高い製品やサービスを生み出すこと、そして、それが顧客の利便性を高めることにつながること。

現場のモノづくり(コア技術、カイゼン)→製品やサービス→顧客の利便性の向上(※)

この流れ、連鎖がモノづくりの本質を表します。顧客の利便性(付加価値)向上に繋がらない製品やサービスは、そもそもお客様に選ばれません。

現場のモノづくりを通じて顧客の付加価値を高める、それに伴って自社の付加価値を拡大させる、というイメージがとても大事です。

モノづくりを事業とするならば、この流れを太く、強く、速くし、お金を生み出す仕組みに磨きをかけます。

IOTを現場へ導入する前に考るべきこととは?

そして、この流れを加速させる道具として、IOTがあると考えます。

ですから、

・モノづくりの本質を極めること

・それを加速させること

これらは別物であることに留意します。つまり、IOTは本質を極める道具ではない、本質を極めるには、別にやることがあるということです。

IOTを導入する前に、

・モノづくりの本質を理解すること

・経営者自身が考える本質を現場と共有すること

こうしたことが大切であり、その後の取り組みに影響します。

 

 

 

モノづくりは技術であり、工学であり、科学です。

因果関係が極めてはっきりしている世界ですから、主観的な、情緒的な、感情的な要素が紛れ込む余地は全くありません。

客観的で、合理的で、論理的な議論が中心になります。これは、まぎれもない事実であり、モノづくりの一面を説明しています。

しかし、儲かる工場経営では、こうした工学的、客観的な要素以外に忘れてならないことがあります。

それは、モノづくりに携わっているのは、”人”であるということです。工学的、客観的な要素のみでは語れない領域が存在します。

人の集まりである組織が機能して、初めて現場では成果が出ます。組織を機能させる意識を強く持つことも、儲かる工場経営では欠かせないトコロ。

ですから経営者の価値観を現場と共有して、共感を感じるように働きかけることはとても大切です。

こうした働きかけを抜きにしては、自社工場に健全で、前向きな組織文化を醸成することはできません。

 

 

 

さて、本質を強化するためには、具体的に何をするか?

 

モノづくりの本質の流れ、連鎖は、2つの段階で構成されていることに注目です。

現場のモノづくり(コア技術、カイゼン)→製品やサービス→顧客の利便性の向上(※)

1)現場のモノづくり(コア技術、カイゼン) → 製品やサービス

2)製品やサービス → 顧客の利便性(付加価値)向上

矢印は、前者が後者へ変換されていくことを意味しています。

コア技術やカイゼン等、現場へ投入された経営資源が製品やサービスに変換されます。顧客へ届けたい「コト」に関する情報の束を素材に”転写”している過程とも表現できます。

そして、製品やサービスは、顧客の手元に届いた後、顧客の利便性(付加価値)に変換されます。

この変換に不備があると(※)が滞り、顧客の満足が得られず、次回以降、自社製品やサービスはその顧客から選ばれません。

必死になって現場で汗をかくけれども、不良率が高止まりでコスト高となり利益が確保できない。

顧客へ納入した設備で予想外のトラブルが頻発し、顧客との信頼関係を損ねる事態になる。

最も避けたい事態です。

1)と2)の2つの変換を、いつも高品質に、可能な限り低コストで、タイムリーに実現させる。儲かる工場経営では、これら2つの変換の質を高め続けます。

モノづくりの本質の流れ、連鎖(※)を太く、強く、速くするために、「2つの変換を、いつも高品質に、可能な限り低コストで、タイムリーに実現させる」。2つの変換に注目することが、本質を強化することに繋がります。

 

 

 

これは、今も昔も、そして未来も同じです。そして、変換の質を高める取り組みは、アナログであろうが、デジタルであろうが、関係ありません。

例えばトヨタ生産方式は、前者1)の変換の質を高める手段として昔から有名です。
IOTでなければできないことではありません。

2つの変換の質を高める取り組みは、IOTとは無関係に実施できます。

まず、モノづくりの本質をしっかり理解したうえで、2つの変換の質を高める具体策を頭に汗をかきながら考えます。

2つの変換の質を高めること、これが付加価値拡大で、最初に考えるべきことなのです。

「変換の質を高める取り組み」こそが重要です。IOTとは無関係に、この課題が存在しています。

ただし、技術で戦う世界ではスピードが勝負です。優れた技術やノウハウも先んじて世の中で貢献できなければ、儲けにつながりません。

ですから、あらゆる取り組みを加速させる必要があります。

ここで、活躍するのがIOTです。競合に先駆けて競争優位性を確立させることを目指すならば、変換の質を高める取り組みのスピードを上げる。

このスピードを上げるためにIOTを活用すると考えます。

繰り返しますが、まずは、2つの変換の質を高める取り組みを考えることが先です。

 

 

 

モノづくりの本質を表面的にしか理解していない現場では、当然ですが(※)への認識があいまいです。

自分たちの製品やサービスが顧客の利便性(付加価値)向上にどうつながっているか考えたことがない。そもそも、現場の強みやコア技術を認識する機会もない。

モノづくりの本質を表面的にしか理解していない現場へ設備投資すると、経営者が望んでいる成果や効果が生まれないリスクが高いです。

新たな設備が、そもそも(※)の何をどう強化してくれるのかが曖昧だからです。現場も戸惑い、かえって生産性を下げ、生産リードタイムは延長され、変換の質を下げることになります。

 

以前、お付き合いのあった商社さんでの話です。

そこの商社は10人程度の規模ですが、地域密着型で地元企業の現場にしっかり入り込み、工具1個から数千万円の設備を商売の対象にしていました。属人的な強みを発揮していたと言えます。必ずしも会社全体の仕組みがしっかり構築できていたわけではありません。

そこで、この職場へ新たに受注システムを導入して、現場の受注活動を一元管理しようという取り組みが始まりました。

社長がトップダウンで進めました。「受注活動の一元管理」という狙い自体は全くもって正しく、狙いはイイ感じです。

ですが、導入して2年程度、そのシステムは、ほとんど活用されませんでした。「社長がせっかく導入してくれたシステムだから、使いたいのはヤマヤマなんだけどね・・・・」

なぜなら、現場にとっては、従来に比べると、作業が煩雑になり手間がかかっていたからです。従来通り、個人個人が受注票へ手書きで記入してファイリングする方が、現場にとってはスッキリ。

現場のモノづくり(コア技術、カイゼン)→製品やサービス→顧客の利便性の向上(※)

システムの導入によって、(※)の前半の変換で質劣化が起きていた。

「受注活動の一元管理」によって、従来にはない全社的なメリットがあることがトップから現場へ伝わっていなかったことも一因だったようです。

その後、改めて自社の強みを分析し直し、新たなシステムを使って何を強化すべきなのかを明確しました。

そして、その狙いにマッチしたシステムへ改良することで、今は稼働しています。

 

 

 

商社を事例としてあげましたが、同様なことがモノづくり現場でも起こります。

モノづくりの本質を表面的にしか理解していない現場では、社長の想いがあっても、設備投資の効果は薄いです。全ては、モノづくりの本質(※)が曖昧なままだからです。

まずは、自社工場に当てはめて、モノづくりの本質を現場とともに明らかにして、2つの変換の質を高める取り組みを考えます。「変換の質を高める取り組み」こそが重要なのです。

儲けるためのモノづくりの本質が見えるようになれば、自ずと「変換の質を高める取り組み」も浮びます。

IOTが「変換の質を高める取り組み」のアイデアを生んでくれるわけではありません。

「変換の質を高める取り組み」を生み出す知恵は、あくまで現場や頭の中にあります。

そして、それは経営者の想いによって、引き出さるものです。

IOTに心ざわつかされる前に、やるべきことがあります。

モノづくりの本質を現場と共有しませんか?

そして、「変換の質を高める取り組み」をひたすら考えませんか?

 

 

まとめ:モノづくりの本質を強化するには、2つの変換、

1)現場のモノづくり(コア技術、カイゼン) → 製品やサービス

2)製品やサービス → 顧客の利便性(付加価値)向上

の質を高める。

「変換の質を高める取り組み」こそが重要であり、IOTは、その取り組みを加速させる道具である、という話です。