「生産性ロードマップ戦略」—儲かる工場経営を目指して—第285話 儲かる工場経営「キホンのキ」とは?

「売上高だけではわかりませんでした。」

2021年の振り返りをした50人規模素材加工企業経営者の言葉です。

 

コロナ禍で収益力が劣化しました。「従来の下請けモデル」を続けても、生き残れないと感じている経営者です。「儲かる下請けモデル」を構築しようとしています。

・強みを整理すること

・「既存のお客様と商品、サービス」を深掘りすること

・「新規のお客様」を開拓すること

・「新規の商品、サービス」を開発すること

全て外の活動です。経営者にしかできません。プロジェクトをスタートして半年、売上高が右肩上がりモードに変わりつつあります。

売上高は計画通りです。しかし、付加価値額が売上高についてきません。付加価値額の積み上がり方がこれまでとは違っていました。冒頭の言葉です。

 

 

 

 

 

競争戦略の本質は戦わずして勝つことにあります。差別化戦略です。そうなっていないとアイミツをとられ、価格競争に陥ります。

戦わずして勝てるフィールドを探すことが経営者の仕事です。早晩、価格競争に陥るフィールドでどんなに優れたビジネスモデルを構築しても、疲弊して、大手や競合に負けます。

 

規模の経済を標榜する薄利多売で儲ける大手と同じことをやっても生き残れません。価格競争とは規模の競争です。中小の戦略ではありません。

値下げで収益を確保できないと感じ始めたら要注意、値下げが辛いなぁと感じたら黄色信号、競合先との同質化競争になりつつあるという警告です。

 

値下げに対するストレスの増加を放置したらいけません。真綿で首を絞められるようにじわじわ苦しくなります。本当に苦しくなった時に動き始めても、もう間に合いません。

その時は既に体力を消耗し切っているからです。あるいは競合先は既に手を打って、生き残りの具体策を実践済みです。

私達、中小製造企業は儲かる工場経営のやり方を創出し続けなければなりません。変化に対応することが企業の本質です。

 

 

 

 

 

規模の経済が武器になるなら薄利多売戦略は具体策です。徹底的にコストを下げます。規模の経済の面目躍如です。規模が武器になるならこれで行けます。

ただし、私達は柔軟性や機動性に強みを持つ中小製造企業です。外部環境が変わり、従来のように親企業からの確定した受注がなくなりました。大手とは生き残り方が違うのです。

特定のビジネスモデルだけを継続しても生き残れる保証はありません。

 

・中小製造企業は多様なビジネスモデルの組み合わせで儲ける。

親企業がグングン右肩上がりで成長しているなら、運命共同体として親企業に貴社の命運を掛けても構いません。時代の流れがそうであるなら正しい判断です。

しかし、時代は変わりました。付加価値額を見つけては、拾い、積み上げる姿勢が求められます。変化に対応するため、できないことをできるようにしなければ生き残れないのです。

 

経営者にしか感じられない危機感と言えます。

お客様に言われたモノをその通りに造るだけでは壁にぶち当たってしまうのです。多様なビジネスモデルの組み合わせが最適解となります。

 

 

 

・付加価値額率の高低はビジネスモデルの多様性を表わす。

付加価値額率が語るのはビジネスモデルの特徴です。40%のビジネスがダメで60%のビジネスがイイという単純なものではありません。

このあたり、誤解をしている経営者がいらっしゃいます。大手は規模の経済で薄利多売のビジネスモデルを基本とするから付加価値額率の高低にこだわるのです。

 

中小製造企業は付加価値額率の高低ではなく、付加価値額の多寡にこだわります。なぜなら製造業の収益モデルは固定費VS付加価値額だからです。

多様なビジネスモデルの組み合わせで構いません。ちりも積もれば山となる戦略です。付加価値額率が10%のあっても、100%であってもそのモデルの優劣とは関係ありません。

課題は製造業の収益構造をクリアすることであり、そのために多様なモデルを組み合わせればいいのです。

 

ビジネスモデルの付加価値額率が特定値で揃っていなければならないということはありません。先の企業でも新たに加えた事業モデルは従来と異なっていたのです。

売上高で収益力を測れなかったのはそのためでした。儲かる工場経営のキホンは付加価値額の規模と人時生産性のアップにあります。先の経営者はそのことに腹落ちしたようです。

 

経営者が押さえたいのは付加価値額の「規模」です。その後、「率」です。経営資源に制約のある中小製造企業ですから、「率」も無視はできません。しかし、経営者が気になるのは「規模」です。

 

・付加価値額を積み上げる多様なビジネスモデルの探求にこだわる。

・1ヶ月間で積み上げる付加価値額の規模と勢いにこだわる。

儲かる工場の経営者はこれら2つにこだわりを持ちます。

 

付加価値額の積み上げに意識が向けば、固定費も気になります。そして、この固定費にこそ経営者の想いが込められているのです。

正しい指標を設定すれば固定費を健全に成長させられます。弊社が繰り返し申上げている、豊かな成長と発展につながるのです。

・利益アップ

・給料アップ

 

 

 

 

 

弊社がご支援するのは人時生産性向上プロジェクトです。先の企業も付加価値額に焦点を当て、規模と率を指標に成長戦略を実践し始めました。

下請けモデルがダメなのではなく、「儲からない」下請けモデルがダメなのです。

2022年、どこまで伸ばせるか?実践スタートです。

 

年の初めは事業計画を確認しながら、貴社独自の儲かるビジネスモデルを見直す絶好の機会と言えるのではないでしょうか?付加価値額を指標にした事業戦略を設定して下さい。

今年の年末を迎えた時、「今年は例年になくやり切った!」となるためです。プロジェクトは目標設定次第であることも思い出して下さい。

 

経営者の仕事は現場へ納期遵守意外の論点を伝えることです。

儲かる工場経営の「キホンのキ」です。

 

成長する現場は、多様なビジネスモデルの組み合わせで儲けを積み上げ生産性を高める。

停滞する現場は、規模が小さいのに従来のビジネスモデルで規模の経済の仕事を目指す。