「生産性ロードマップ戦略」—儲かる工場経営を目指して—第150話 速いと早い

事業のスピードをアップさせるのに何をしていますか?

 

「休みの間に将来のことをじっくり考えたいのでお願いします。」

4月からご一緒に仕事をしている経営者の言葉です。5月連休明けから本格的に開始とするところでしたが、たまたま、今年は10連休。

その経営者はこの機会を活用して、少しでも早く収益性を高める活動を軌道に乗せたいと考えました。そこで、連休明けに取り組むテーマを前倒しして、連休中から取り組んだのです。

12ケ月計画プログラムを1ケ月先行させて進めています。ご相談いただく多くの経営者の方々と同じように、その経営者も事業のステージを高めようと必死です。

外部の力を活用して、仕事のやり方を変え、スピードアップをしようとしています。

 

 

 

 

 

ユニ・チャーム社長、高原豪久氏は、ご自身の書籍『ユニ・チャーム式 自分を成長させる技術』で次のように語っています。

今日のビジネス環境では、「大きいものが小さいものに勝つ」のではなく、「速いものが遅いものに勝つ」と、私は考えています。この「速い(スピード)」には、「早い(タイミング)」という意味も含めています。

 

利益の源である付加価値額はすべて企業の外部にあります。中小製造企業の経営者は、当然のことですが、市場と向き合わなければなりません。外部環境へ働きかける必要があります。

しかし、一方で、コントロールできないのも、市場や”外部環境”です。外部環境の変化を見極めて、適応する柔軟性も求められます。

 

我々は、どうすればいいでしょうか?

内部環境をコントロールして、外部環境への働きかけ方を変えるのです。内部環境をコントロールするとは、いつも申し上げている、「仕事のやり方を変える」ことにほかなりません。

 

利益の源である付加価値額は、すべて企業の外部にありますが、それらを獲得する原動力がある場所は内部です。

ですから、経営者による内部環境への働きかけ方が問われます。

 

「速い」と「早い」。意欲的な経営者は決断が早いです。

そもそも、経営者とは、自身の事業を成長させるのに役立つなら、即断即決で行動する方々です。また、行動自体も速いと言えるのではないでしょうか?

高原氏も語っているように、勝つか負けるかは、規模ではなく、スピードに因ることが多いです。多くの経営者は、そのことを知っています。

 

 

 

 

 

「速い」と「早い」を実践すると、仕事のテンポが良くなる感じがしませんか?「速い」と「早い」に対応する仕組みができあがり、現場のストレスが消えるからです。

問題がすぐに課題へ変換され、短期間で解決に向かい、そして次の問題へ・・・。

経営者の「速い」と「早い」は、現場の思考回路へ、プラスの波及効果をもたらしてくれることもあるのです。

 

これは、移動手段の技術進化の効果と似ています。移動手段の技術進化は、多くの利便性を人間に与えてきました。ひとつが速さです。

徒歩→馬車→自動車→飛行機

 

技術進化で、人間は、移動の速さを手にしました。それと同時に、移動中の快適さも、手にしたのではないでしょうか?

歩きながら寝ることは、無理でも、馬車でならできます。また、自動車のなかでPCのキーボードを打つことはかなり難しいですが、飛行機でならできます。

新幹線や飛行機の中でひと仕事、という皆さんも少なからずいらっしゃるはずです。

 

移動手段のスピードアップは、速度と快適さの両立の上に成り立っています。馬車の構造のまま、高度1万メートルを時速800kmで飛んだら、快適どころの話ではありません。速さを実現させるためには、環境の整備も欠かせないということです。

 

これは、製造現場にも当てはまります。経営者の「速い」と「早い」は、現場の思考回路を鍛え、基礎体力を高め、仕組みづくりを促すのです。その成果、ストレスフリーの環境が整います。勝てるチームができあがるのです。

 

 

 

 

 

そして、スピードを高めるには、力(外力)が必要であることも忘れてはなりません。

物体に力がかからない限り、その物体は静止のままか、今の速度を維持したままか、どちらかになります。ニュートンの運動方程式です。

スピードを高めるのには、”加速度”が欠かせません。

 

その”加速度”を生む外力は、内部に限らず、外部からでも調達はできます。少数精鋭で筋肉質の現場を目指すなら、全てを自社でやる必要はないのです。

外部の力を外力に活用すればいいのです。時間を買うことにもなります。弊社は、挑戦する経営者の外力となって、事業に加速度を生み出す役割を担って参ります。

 

・成長する現場は、外力で加速度を得て、事業の速度を高める。

・停滞する現場は、従来の仕事のやり方のままでストレスを高める。

「速い」と「早い」を実践できる現場をつくりませんか?