「生産性ロードマップ戦略」—儲かる工場経営を目指して—第266話 人時生産性を高める組織に欠かせないものとは?

「先生、工場の体制を見直したいのですが?」

プロジェクトに取り組んで半年になる中堅メーカー経営者の言葉です。

 

儲かる工場経営の要点は納期遵守以外の論点を持つことです。ただ、現場は日々の生産活動で忙しく、納期遵守以外の論点を持つゆとりがありません。

そもそも、納期遵守以外の論点が存在すること自体知らないことも多いのです。経営者はそのことを現場へ教えなければなりません。

 

納期遵守以外の論点を経営者と一緒に現場へ伝達するのがスタッフ、間接員です。事業規模を3億円、5億円、10億円と成長させるに欠かせないメンバーとなります。大手で多くのスタッフや間接員が現場で活躍している所以です。

 

先の経営者は間接部門の強化を考え始めました。直接員だけでは、事業を飛躍させるにも限界があると感じたからです。今の体制を変える必要があります。

 

 

 

 

 

 

儲かる工場経営では納期遵守以外の論点、人時生産性向上に焦点を当てます。納期遵守だけでは儲からないからです。

 

多品種少量生産、変種変量生産が普通だと言われる昨今、モノづくりは高度化、複雑化しています。突発や特急にも対応しなければなりません。納期遵守だけでも大変です。

したがって、納期遵守さえしていればイイではないかとの声も聞こえてきそうですが、残念ながらダメです。競合も突発や特急に対応しながら納期を守っています。

 

競合と同じことをやっていても儲からないのは商売の基本中の基本。持続的競争力の源泉は差別化。中小製造企業の生き残りは人時生産性を高める取り組み次第です。

貴社はどうですか?

 

 

 

 

 

少品種多量生産の時代なら面倒くさいことは不要です。一定規模の受注量が見込めるので、受注の電話やメールを待っているだけでも儲かります。

しかし、新型コロナ感染拡大を機に時代の流れは決定的に大きく変わりました。モノづくりで儲ける方程式も変化しています。大手も生き残りに必死です。

利益アップと給料アップのためには貴社の人生生産性を3,000円、4,000円台から5,000円、6,000円へと伸ばすしかないのです。

 

こうした変化に気付いているか、気付いていないかは中小製造企業の命脈を保つのに影響します。納期遵守だけでなく、人時生産性を高める現場活動も欠かせなくなりました。

 

人時生産性向上は緊急度の高い仕事ではありません。“今”、それをやらなくても当面、困りません。しかし、仕事のやり方を変える機会を失います。

納期遵守は維持しても、価格競争を回避できず、その結果、赤字です。工場経営は成り行きにまかせたら赤字になります。外部環境も競合も技術も変化、進化するからです。

現状維持は相対的な後退になります。

 

 

 

 

 

工場組織を見直す必要があります。

観点のひとつが間接員の仕事振りです。

 

納期遵守以外の論点を知らない現場では「仕事=作業」という思い込みがあります。

この思い込みがあると営業部門や設計部門、技術部門、経理部門、総務部門等々、間接部門職場との連携で付加価値額を積み上げる発想が出てきません。

こうした思い込みは、人員数30名以下の比較的規模の小さな現場で見られることがあります。そもそも、営業部門や設計部門、技術部門がないこともしばしばです。

 

そうした現場は自分の仕事をこなせば問題はないだろうと考えがちです。経営者も売上高だけを追いかけます。

こうした思考回路を持ってしまうのは体制に原因があるのです。納期を遵守することだけに焦点を当てた仕事の分担しか与えていない職場に原因があります。

 

人時生産性向上活動では間接員の仕事ぶりが要点となります。

仕組みで仕事をするからです。チーム力が問われます。相互に補完し合う応受援性の高い職場、多能工化がキーワードです。

 

間接員は「人時生産性を高めてこそ・・・」という新たな考え方を現場へ伝えることになります。“伝道師”としての仕事です。

売上高規模が3億円前後から5億円規模、それ以上へ成長発展する際に直面する課題です。

 

これまでの体制が緊急度の高い仕事をこなす直接員だけで構成されているならば、工場の組織を見直さなければなりません。間接員の体制整備です。

 

2つの目的があります。

・納期遵守以外の論点を直接員へ伝える。

・間接員が人時生産性向上の仕組みづくりを主導する。

 

また、売上高が5億円を超えて10億円規模へ向かう過程では大手企業と同じ問題に直面します。間接業務の肥大化です。間接業務を設定し直し、肥大化した人員は将来投資業務へ振り分けます。

 

 

 

 

 

間接員の仕事ぶりから考える人時生産性向上の観点は2つです。

・間接員が効果的に配置されて、直接員を支援する体制ができているか?

(間接員が少なすぎないか?)

 

・間接員数が肥大化して、人時生産性向上の足かせになっていないか?

(間接員が多すぎないか?)

 

中小製造現場生き残りの要点は、組織の規模の大小に関わらず、納期遵守に加えて、人時生産性向上の論点を持つことです。日々の仕事の中で、緊急度の低い業務を定着させます。

 

組織は目的によってつくられます。間接員が必要になるのも目的があるからです。

 

納期遵守以外の論点を知らない現場では仕事量が増えるに従って人員が単純に増えます。組織の目的は納期遵守で仕事をさばくことにあるからです。

 

一方、人時生産性向上の論点も持っている現場では今の人員で増えつつある仕事をさばけないかと考えます。組織の目的は人時生産性を高めることにあるからです。

間接員の支援も必要になります。人時生産性を高める組織では間接員が重要な役割を果たしているのです。

 

 

 

 

 

効果的な間接業務を設定します。その多くは将来投資につながる業務です。間接員は将来投資の役割を担っています。間接員の役割は直接員とは違うのです。

経営者はこの役割を全従業員に理解させなければなりません。

人時生産性向上の論点を知らない直接員が間接員を目にすると「あの人は何をやっているのだ。」と誤った疑問を抱くからです。

 

間接業務の強化

①現場リーダーをプレーイングマネージャーからマネージャーに変える。

②営業部門を強化する。

③設計部門を強化する。

④開発・技術部門を設定する。

⑤品質管理部門を設定する。

⑥購買部門を設定する。

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弊社がご支援している企業様では①と②に取り組まれてところが多いです。人時生産性向上の論点を考えれば、この2つからです。当然ですが、③以下もさらなる成長に欠かせません。大手の仕事振りをみれば明らかです。

 

組織は目的によってつくられます。人時生産性を高めるには間接業務が必要です。間接員、スタッフは将来投資です。

 

先の企業では①、②、③をやることにしました。将来投資が力一杯仕事できるかどうかは経営者の本気度次第です。

今度は貴社の番です!!

 

成長する現場は、仕事が増えたら人を増やさずに直間で連携して人時生産性を高める。

停滞する現場は、納期遵守以外の論点を知らないので仕事が増えればその分人も増える。