「生産性ロードマップ戦略」—儲かる工場経営を目指して—第269話 即効性のある情報か?自らつくる仕組みか?

「新規顧客はどのように開拓すればいいでしょうか?」

個別相談での30人規模機械部品加工メーカー経営者の言葉です。

 

下請けモデルの中小製造企業では、売上高の大部分を特定企業に依存しているケースが少なくありません。

弊社がご支援している企業様でもそうした経営問題に対峙し、果敢に攻めている経営者の方々がいらっしゃいます。

 

先の企業も同様の問題に直面しているようです。そこで2つの質問をしました。経営計画があるか?社長が不在でも工場は回るか?

どちらもノーでした。そこで、経営課題の本質を探ろうと問いを重ねましたが、先の経営者は既にある解決のやり方を決めていたようです。

 

 

 

 

 

付加価値額を積み上げるために「どんな顧客や業界にアプローチしたらいいか?」

この経営課題を解決するために経営者が外部機関の力を借りようと決断したとき、期待することは、下記2つのうちのどちらかです。

1)新たなお客様や業界を開拓する仕組みづくり

2)新たなお客様や業界に関する情報の獲得

 

弊社は、お客様や業界を開拓する仕組みづくりを儲かる工場経営の体系と手順からご支援をしています。前者の1)です。外と内をつなぐ製販一体が要点になります。

・新たな付加価値額を積み上げる標的お客様や業界を判断/創出する仕組み

・新たな付加価値額を積み上げるコア技術を強化する仕組み

弊社が提供しているのはこれです。下記のような事例があります。全て、1~2年間の仕組みづくりから至った成果です。

・消耗部品の製造だけでなく、定期メンテも加えて儲けを上乗せした。

・切削技術の高度化で異業種へ参入した。

・既存ラインに特定の工程を付加、価値を高めて新規顧客を開拓した。

 

一方、直ぐに役に立つ、即効性のある情報を期待する経営者もいらっしゃいます。

・新たなお客様や可能性のある業界の紹介

外部の人脈や市場情報を手に入れたいと考える経営者です。先の経営者はこちらを期待していました。こうした場合はそうした類の外部機関へ相談するべきであるとお伝えしなければなりません。

 

 

 

 

 

即効性のある情報で付加価値額を積み上げるのもヨシです。新たなお客様や業界と即、巡り合える機会があるなら、そうした情報を生かすのは当然の選択です。

ただし、新たな受注をこなす体制づくりは欠かせません。せっかくの機会を現場で生かせない懸念があるからです。さらに、外部情報だけに依存していると、ノウハウ蓄積が現場で生まれにくいことにも注意です。

 

1)であっても、2)であっても、付加価値額を積みあげる仕組みづくりは必要です。そして、その仕組みは儲かる工場経営の体系と手順から構築できます。

日頃からお伝えしていますが、大手の仕事ぶりを真似ていただきたい所以です。

仕組みがあってこそ、即効性のある情報が活きます。

 

 

 

 

 

中小の平均人時生産性が3,000円台に対して、大手のそれは6,000円台。この付加価値額の差は何を意味しているかは言わずもがなです。

だから、大手の仕事ぶりを真似ます。そこに答えがあるからです。数値が語っています。そうして利益アップと給料アップを実現させるのです。

 

しかし、簡単にはできません。大手のやり方をそのまま中小現場へ導入しようとしても失敗します。大手と中小の現場では「環境」が違うからです。言い換えると、「大手での普通」と「中小での普通」が違っているということです。

 

大手と中小の現場にはいろいろな点で差異があります。これは実地で経験していないと理解できないことかもしれません。雰囲気や空気感のようなものも含みます。

弊社が中小製造経営者の方々をご支援できるのは、実地の経験と多くのご支援事例から得たノウハウがあるからです。

 

貴社が、事業を3億円規模から5億円、10億円、20億円と成長させ、仕事のやり方のステージが高まった暁には、大手のやり方そのものを真似ることができるようになります。

しかし、もし、今、そこへの発展途上であるなら、大手のやり方をそのままやろうとしても失敗する懸念が高いのです。

セミナーやご支援のなかでお伝えしていますが、大手から中小へ転職したときに痛感したことであり、弊社を設立したきっかけも、そうした体験が背景にあります。

 

 

 

 

 

大手の仕事ぶりを真似る仕組みづくりに正解は存在しません。

人時生産向上の体系と手順はあります。ただし、それを仕組みとして現場へ定着させるプロセスは多様です。大手と中小の現場の差異を踏まえなければなりません。

 

人時生産向上の体系と手順を理解したうえで試行錯誤することになります。そうして、経営者は改革のフィードバックをやるのです。

 

改革はトップダウンです。トップダウンですが最初からうまくいくとは限りません

抵抗勢力が出てくる可能性があります。当事者意識の低さに直面することもあるでしょう。そもそも、全社一丸となって取り組み仕事のやり方が分からなければ戸惑うのは現場です。

 

仕組みづくりでは現場の反応をフィードバックすることが大事です。問題ありとなれば、ベクトルを揃える取り組みに着手しなければならないからです。

大手の仕事ぶりを真似る仕組みづくりに正解はありませんが、それを探る手順はあります。試行錯誤を厭わず、仕組みづくりに挑戦してこそ、ノウハウが組織へ蓄積されるのです。

 

 

 

 

 

人時生産性向上の現場活動は具体的です。生産管理3本柱に従います。これらの仕組みづくりは工学そのものです。

新たな仕事のやり方を現場へ導入したときに現場はどんな反応を示すだろうか?想像することが必要です。そうして、結果をフィードバックして次へつなぎます。

 

例えば、これまで、なんとなくやらせていた作業日報のやり方を変えるとき、現場はどんな反応を示すか仮説を立てることからです。

・作業時間の新たな定義を理解してくれたか?

・段取り時間を意識するように変わったか?

・停滞時間も含めたリードタイムで記録しているか?

等々、そうして実績の検証です。検証の結果を次へ生かします。

 

工学では多様な現象から規則性を導き汎用性の高い法則を導きます。

儲かる工場経営の仕組みづくりは工学よろしく、仮説と検証を繰り返しです。貴社現場での規則性を導くことにほかなりません。

 

人時生産性を高める論点の多くは外にあります。広大無辺な市場を対象に商売をしているのが、私達、中小製造企業です。

弊社は独自の経験と多くの事例を生かして、貴社での法則を見つけるご支援をしています。

 

 

 

 

 

・新たな付加価値額を積み上げる標的お客様や業界を判断/創出する仕組み

・新たな付加価値額を積み上げるコア技術を強化する仕組み

これが新たな付加価値額を積みあげる仕組みです。そうして、新規のお客様、業界を引き寄せ、新たなお客様に選んでもらえる商品や製品を効率よく造る現場に変えます。

 

試行錯誤をしながら、仮説と検証を重ねて、規則性を導いて法則を見出します。ここで求められるのは具体→抽象→具体の思考です。

現場で起きる事象の因果関係が分からなければ仕組みは定着、浸透しません。仕組みづくりの難しさは人の多様性にも起因しているからです。

 

具体的な出来事から、我が社の従業員が考える言動の規則性を見い出し、その知見を活かして人に動いてもらうように導く仕組みをつくります。

仕組みを動かすのは人なので、こうした思考も求められるのです。

 

仕事を通じて人材を育成するのが大手のやり方です。大手には人材再生体制が整備されています。考えること自体が人を育てるのです。

弊社が仕組みづくりをプロジェクトでやる理由はここにあります。

 

「標的お客様や業界を自ら見つけ製販一体で働きかける仕組み」で新たな付加価値額を積み上げるという発想を持ちたいです。

自ら作る仕組み、仕組み、仕組みです。仕組みは人も育てます。

次は貴社の番です!

 

成長する現場は、独自の仕組みで標的お客様や業界を自ら見つけ付加価値額を積み上げる。

停滞する現場は、即効性のある情報で標的お客様や業界を見つけることに満足してしまう。