「生産性ロードマップ戦略」—儲かる工場経営を目指して—第294話 できない理由ばかり言う現場に無いものとは?

「できない理由ばかり言ってくるのです。」

今月からプロジェクトに着手した20人規模、商用車部品製造企業、経営者の言葉です。

 

新規受注を獲得しようと、経営者自ら、日々、お客様のところへ足繁く通っています。2名いる営業部員もそうした経営者に引っ張られて、日々、外で汗をかいています(ご時世柄、外で汗をかくことは減っていますが・・)。

既存のお客様との関係性強化に余念がなく、売上高を増やすためには新商品開発が欠かせないと考えている経営者です。競合に負けないよう、特許で技術的な強みを独占使用できるようにしています。防衛のためです。

また、自社商品は商社や代理店を通じず、経営者が直々に新規のお客様を開拓して売り込んでいます。最強のトップ営業を実践している経営者です。

社長業に専念したいと考えてプロジェクトを決断しました。温めていたアイデアを現場のキーパーソン達へ伝えたときのことです。

現場からの反応にはがっかりしたとのこと。

冒頭の言葉です。

 

 

 

 

 

社長業に専念できていますか?

社長の仕事は全て外にあります。経営者が仕事に打ち込めば打ち込むほど、工場にはいられなくなるのです。「社長が不在でも仕事を回せる工場」にしなければなりません。

ご自身が不在でも貴社の工場は回りますか?

 

経営者が不在でも、工場が回るためには、指示の導線が必要です。指示の導線を機能させる4つの階層があります。

・経営する人

・管理する(比べる)人

・指示する人

・作業する人

 

経営者の意志や意図が作業者へ伝える導線です。4階層で分業します。経営者が不在でも意志や意図は現場へ浸透していなければなりません。現場の自発性はトップダウンがあって初めて発揮されるからです。

 

これまで経営者が直接指示で現場を動かしていたのなら、そのやり方を変えます。経営者からの導線を分担して現場へ伝えるのです。先の企業も指示の導線づくりからです。管理する人として新たに工場長を据えました。

 

指示の導線4階層で製販一体、チーム力を機能させるのです。経営者の意志や意図がしっかり伝われば、共通の目標が共有されます。共有されると「集団」は「チーム」に変わるのです。そして、このチームの力が作業者一人ひとりの思考回路を変えてくれます。

 

 

 

 

 

「できない理由ばかり言ってくる」現場に共通していることがあります。

・個の力が重視されすぎていて、チームが機能していない

一人親方現場です。割り当てられた自分の仕事はしっかりこなします。全員、自分は一生懸命仕事をしていると思い込んでいるのです。

ミスは絶対にしたくありません。失敗すると「個」が責められると考えているからです。したがって、そうした現場で育った人材は当然、そうした言動をします。

個の力が重視される現場の思考回路です。そうなった人材が悪いのではありません。氏より育ち。環境がそうした人を育てたのです。

 

個の力が重視される現場では失敗は悪です。失敗すると責められます。挑戦する意識は低いです。自分でできる範囲内で考えようとします。

したがって、新しいことにはできない理由を並べたくなるのです。下手に手を出してうまくいかなかったら嫌ですから。チームで仕事をしたことがありません。

協力、連携、連動で成果を出したこともありません。チームでなくても、概ね自分一人で完結する仕事しかやらないので、そもそもチームが必要と考えたことがないのです。

 

 

 

 

 

弊社ご支援先では、それまで「個の力」で乗り切ってきた現場が少なくないです。したがって、「チームの力」がない状況を嘆く経営者もいらっしゃいますが、嘆く必要はありません。

従来はそれでよかったのです。そのやり方で十分に商売ができました。商売ができていたので問題ありません。

 

しかし、経営者は気付いたのです。時代の流れが変わり、このままでは成長も頭打ちであると。事業のステージを高める過程で直面する問題です。

変化しようとしています。喜ばしいことです。

競合よりも先んじてそのことに気付き経営改革を決断しました。まさしくチャンスです。チームで仕事をする環境整備は経営者にしかできません。

 

チームで仕事する目的は「ひとりではできないことをできるようにする」です。できないことに直面したチームは「どうしたらできるか?」と考えます。

「社長から○○〇せよと指示がきたけれど、相変わらず、ムリなことを言ってくるよなぁ~。」仲間内でブーブー言いながらも挑戦するのです。

 

「ムリを言うのがウチの社長の仕事ですね。」と説明してくれたPJリーダーがいます。大手企業ではありません。40人規模の中小です。チームで仕事をしているとそうした思考回路になります。

チームとはもともと、「ひとりではできないことをできるようにする」ためのものだからです。経営者はそうした環境を整備してください。できない理由を言う必要がなくなります。

まずは指示導線です。4つの階層で指示導線の分業体制を確立します。

 

 

 

 

 

チームで仕事をするから人はスキルを高められます。学ぶ機会を知らず知らずのうちに持つからです。ベンジャミン・フランクリンの言葉があります。

言われたことは忘れる

教わったことは覚える

参画したことは学ぶ

 

チームで仕事をするようになると、現場そのものが学びの場となるのです。人材育成を現場に任せられます。実務を通じた教育こそ血となり肉となりやすいのはお分かりいただけるでしょう。弊社のご支援をプロジェクトで進める所以がここにあります。

 

人材再生産体制をつくりたいのです。人が人を育て、人が育ちます。

できないことは仲間と一緒にできるようにしようと考える現場ができたら、経営者はどうなりますか?

経営者は社長業に専念できます。

できない理由を考える暇があったら、どうすればできるかを仲間と考えるようになるのです。現場のことは現場に任せられます。頼もしい現場です。

 

 

 

 

 

人時生産性を高める王道は分子の積み上げです。既存製品の価格アップ、既存製品の販売数量アップ、新製品開発とその販売。経営者が片手間でできることではありません。

社長業に専念しないとできないことばかりです。結局社長業に専念したかったら、現場でチームを機能させて、内の仕事は現場へ任せることになります。

チームの力を活かす=できないことをできるようにする

チームの力を活かす=社長業に専念する

 

小さな成功を積み重ね、チームにノウハウを積み上げて、大きな仕事ができるようにするのです。経営者の大きな夢を実現させるのには一歩一歩の歩みと言えます。積み重ねです。チームだから地道にできます。一人では辛すぎて無理です。

積少為大

 

 

 

 

 

ただし、チームで仕事をする環境を整備する必要があるからと言って闇雲にやろうとしてもダメです。繰り返しお伝えしていますが、「何をやるか?」よりも「なぜやるのか?」です。

ベクトル揃えです。

人時生産性を6,000円、7,000円とアップさせて地元で選ばれる会社になりたいのだぁとのご自身の意志や意図をしっかり伝えなければなりません。

「なぜ、そんなPJをやるのですか?」という現場からの素朴な疑問にまじめに本気で答えられなければダメです。「納期遵守だけではダメなのですか?」こうした質問にも丁寧に答えます。

だからロードマップです。

経営者の意志と意図の言語化、数値化。これは外せません。手順を踏んでやります。

 

先の企業でPJリーダーを担うのは新しく指名された工場長です。工場長の仕事とは何か?からですが、意欲的な中堅従業員です。どんどん学んでいます。

「PJに着手するとき、新任の工場長が絶対やってはダメなこととは・・・」当方の説明に熱心に耳を傾けるPJリーダーです。

経営者の頭の見える化からやります。ベクトル揃えのためです。

次は貴社が挑戦する番です!

 

成長する現場は、チームの力を知っているので、できないことをできるようにする

停滞する現場は、個の力しか知らないので、できない言い訳ばかりで失敗を恐れる