「生産性ロードマップ戦略」—儲かる工場経営を目指して—第34話 経営者のために機能するチームワークとは?
使命感に基づくチームワークを発揮したくなる環境を整備する。そうしてチームぺレーションを機能させる、という話です。
現場のチームワークはいいですか?
そのチームワークは”守る”ために発揮されていませんか?
現地現物はモノづくりの基本中の基本です。3現主義のことです。トヨタ自動車は「Genchi Genbutsu(現地現物)』と表現し、海外事業所へも浸透させています。
現場に足を運んで、現物を手に取り、現実を知る。
戦略的な意思決定をするときに、忘れてはならない原則です。
経営者こそ、現場へ足を運び、現物を手に取って、あらゆることを皮膚感覚で理解していただきたいです。現実の出来事が論理的なことばかりとは限らないからです。
3現主義で現実を正確に把握し、改善をスタートさせます。そうでないと間違った方向で知恵を絞ることになります。
経営者は忙しいです。常時、現場に立つことは不可能です。
しかし、それでも経営者は、常に現場を掌握していなければなりません。
現場を3ヶ月不在にしていても、現場の状況を把握できていなければなりません。いつ何時、重大な意思決定をしなければならないとも限らないからです。
そこで機能させたいのがチームオペレーションです。
経営者の右腕となるチームを中心にした現場のフォーメーションです。
当コラムではしばしばチームオペレーションについて申し上げております。
当社で考えるチームオペレーションとは以下です。
”使命感”にもとづいたチームワーク
よほどの職人的分野でない限り、仕事をするにはチームワークが必要です。一人でやれる仕事は限定的だからです。
したがってチームワークを不要と考える経営者は皆無です。
そして、どんな現場にもチームワークは自然と生まれます。同じ職場に所属している、同じ現場の仲間だ、一緒に汗を流している、という意識がそうさせるのです。
ただし、一言でチームワークと称しても、その性質は現場によって様々です。その現場の置かれた環境が全てを決めます。
現場のチームワークは置かれた環境によって下記の2つのいずれかの性質を有します。
1)使命感にもとづくチームワーク
2)やらされ感にもとづくチームワーク
仕組みのない現場では後者のタイプのチームワークが生まれやすいです。
仕組みのない現場では客観的な指標(工程指標)がありません。仮にあっても評価とフォローに生かされていません。したがって現場の興味の対象は”納期”のみです。
納期に間に合うようにつくればいいという発想が定着します。
さらに評価とフォローがない現場では、上司の関心は失敗事にのみフォーカスされます。問題を起こしたときだけに上司から声がかかる現場。
めんどうなことには巻き込まれたくないという発想が現場に定着します。
こうした現場は”守る”ためにチームワークを機能させます。言われたからやる、無難にやる、そつなくやる。やらされ感たっぷりです。
チームワークを機能させるのは問題を起こさないためです。少なくとも、仕事の質を高めようという意欲は沸きません。
”それは私の仕事ではない”
仕組みがない職場で、しばしば耳にしたセリフです。
やらされ感にもとづくチームワークである場合、経営者は要注意です。チームワークの興味の対象が”経営者”ではないからです。
”守る”ために機能するのですから当然です。
これでは、創造性、新規性、独自性、革新性・・とは真逆の対応。経営者の想いを実現させるために・・・とはならないです。付加価値創出からは最も遠い行動です。
こうした状況を望んでいる経営者はいません。
しかし、実際、そうした現場も存在しているのです。
使命感を感じられるように、経営者は現場を導かねばなりません。そのための環境を整備します。そこでは、現場からやる気を引き出していることが前提となります。
そして、その上で、現場に任せることです。
期待をかけることです。
あなたしかいないという想いを伝えることです。
トップから期待をかけられて燃えない現場はありません。あなたしかいないという想いを聞かされて頑張らない現場もありません。
ただし、こうしたことを経営者が実践することは簡単なことではありません。
現場が期待に応えるだけの力量を持っていなければ失敗します。ついつい口を出したくなるところを我慢もしなければなりません。
これを実践する経営者もたいへんです。
人財が育っていないとできないことです。信頼関係がないとできません。
ですからモノづくりはヒトづくりなのです。
時間がかかります。全ては経営者が5年先、10年先を見据えて必要な人財を育成できるか否かにかかっています。
使命感をもったチームワークを機能させることは簡単なことではありません。チームオペレーションは経営者の想いが現場に浸透していないと機能しない性質のものです。
時間がかかります。
時間はかかりますが、経営者は力強い右腕を得ます。
時間軸を意識しながら人財を育成したその先にチームオペレーションがあるのです。
そうして経営者は未来のこと、将来のことを考える自由や時間を獲得します。
経営者の意思や意図がなければチームオペレーションは機能しないのです。
チームオペレーションを目指した人財育成の仕掛けを考えませんか?
まとめ:使命感に基づくチームワークを発揮したくなる環境を整備する。そうしてチームぺレーションを機能させる。