「生産性ロードマップ戦略」—儲かる工場経営を目指して—第380話 売上高の計画値にこだわりを持てない原因とは?

「製販一体会議をはじめました。」

30人規模ご支援先経営者の言葉です。

 

付加価値額を積み上げるため市場と向き合う仕事に時間を割いている経営者です。成長するには意志と意図を持った積み上げが必要であることを理解し、それを見事に実践しています。

移動累計の持続的な右肩上がりがその証左です。ロードマップで掲げる売上高や付加価値額の年間計画値にこだわりながら、その数値を目指して積み上げる行動を続けています。

毎月の収益を確認する中でも、先の経営者の言動にブレはありません。ブレることなく、市場と向き合う仕事に時間を割いています。

市場に向き合う仕事に専念できるのにも、理由があるのです。

冒頭の言葉はそのひとつです。右腕役、現場キーパーソンが活躍し始めています。工場のことを現場に任せられる状況に至りました。

製販一体会議の場で、経営者の意志と意図を浸透させられれば、ますます、経営者は社長業に専念できるのです。儲かる工場経営のプラススパイラルモードに移行できます。

売上高や付加価値額の計画値へ真摯に向き合っている経営者です。

貴社では計画値にどう向き合っていますか?

 

 

 

 

 

売上高や付加価値額は獲りにいくものです。黙って舞い込むものではありません。なぜなら市場活動は競争だからです。

市場には「お客様」と「競合」が存在しています。

・お客様には選ばれなければなりません。

・競合には勝たなければなりません。

「企業」という組織は市場と向き合っています。こうした環境に晒されているのです。製造企業はこれらに加えて、技術の進化にも晒されています。

・技術の進化に置いてけぼりを食わないようにしなければなりません。

市場で何もせずに黙っていたら、どうなるかは言うまでもないことです。意志や意図を持って獲りにいかない限り、付加価値額は積み上がりません。

 

「いやいや我が社はそれほど苦労なく受注を確保できていて、粗利もそれなりに積み上げられているよ。」という経営者もいるかもしれません。

その場合、現在の売上高、付加価値額の構成を確認してください。主要なお客様、トップ10のお客様は先代から引き継いだものではないですか?

それは先代のお陰で、今、食べさせてもらっている状況です。

ここで改めて、下記を自身に問いかけて下さい。

「今、お世話になっている主要お客様から、突然、受注減の相談が舞い込んだ時、あたふたせずに対策を打てるだろうか?」

 

 

 

 

 

市場には競争原理が働いています。選ばれて、競争に勝って初めて収益を手にできるのが市場と言う場所です。だから経営者は意志や意図を持って獲りにいくのです。

自ら獲りに行く姿勢と仕組みがあれば、今の主要お客様から、突然、受注減の相談があってもあたふたせずに済みます。

自ら市場に働きかけて、自ら新規顧客を開拓し、自ら売上を獲得する術をもつことです。

人時生産性向上の基本は詰めて、明けて、取り込むことにあります。付加価値額を自ら積み上げる術を持たなければそうできません。

詰めて、空ける術と共に大切なのが、取り込む術です。

 

売上高や付加価値額を獲りにいくとは、自ら市場に働きかけて、自ら新規顧客を開拓し、自ら売上を獲得する仕組みをもつことです。手ぶらで市場と向き合っても心細くなります。

・売上高や付加価値額を獲りにいくこと

・自ら市場に働きかけて、自ら新規顧客を開拓し、自ら売上を獲得する術をもつこと

 

 

 

 

 

自ら市場に働きかけ、自ら新規顧客を開拓し、自ら売上を獲得する術をもつと、販売計画の数値がこれまでとは違って見えてきます。

計画値vs実績で実績が計画値に負けたら経営者は落ち着きません。売上高や付加価値額を獲りにいく術を持っているのに未達で終わったからです。

エベレスト山頂を目指して登山をしていたのに、山頂目前で装備不備で下山を余儀されなくなったら悔しくてたまりません。登頂の術を知っていたのに、ちょっとした事情でできなかったのです。やればできたと知っているからこそ悔しくなります。それと同じです。

売上高や付加価値額を獲りにいく術を持っているからこそ、売上高や付加価値額が計画値に未達だと悔しくなるのです。

計画と実績を比べて差異を認識したら、次の一手を考え、来年度は計画を上回る売上高や付加価値額を積み上げるぞと決意します。

 

一方、売上高や付加価値額を”結果“と考える経営者にとって、計画値VS実績は外部環境の結果と考えがちです。外部環境次第だと考えています。自分ではどうしようもありません。

売上高や付加価値額の計画未達で湧き上がるのは、悔しさよりも諦めです。なぜ諦めなのか?売上高や付加価値額を獲りにいく術を持っていないからです。術を持っていなければ、「しょうがない」となります。

 

現状維持なら、これでも問題はありません。今まで事業を継続できていたのですから。ただ、成長路線を歩みたかったら、付加価値額を獲りにいく術がなければどうしようもないのです。成長とは意志と意図を持って積み上げることです。

 

成長は「させられる」ではなく、「する」ものです。圧倒的に能動的です。

だから、成長戦略を強く決意した経営者は売上高や付加価値額の計画値にこだわり、積み上げの手段に磨きを掛けたくなります。

売る仕組みづくり、商品・製品開発や技術開発に工数を割くのです。成長が使命となっている上場大手企業の仕事ぶりを知っていれば分かります。

売上高や付加価値額の計画値vs実績へのこだわりがありますか?

こだわりがあれば、やり方が変わります。

・売上高や付加価値額の計画値を達成することにこだわること

 

 

 

 

 

製造業の収益構想は固定費VS付加価値額です。固定費に経営者の意志と意図が込められます。固定費は費用と言うよりも投資です。したがって、固定費を回収した後に手にできるのが利益となります。

豊かに成長するとは、固変収益的には固定費を豊かに成長させることと同義です。

そうであるなら、付加価値額も計画的に成長させられなければなりません。ご自身の豊かな報酬のためのには、売上高や付加価値額を計画的に積み上げることが大事になります。

無理を承知でも計画値を目指して積み上げる姿勢がなければ、そもそも成長になりません。成長痛の如く、現場には少々負荷がかかります。

できないことをできるようにするですから、当然です。

 

無理を承知でも達成しようとする姿勢を生み出すのが計画値であり、経営計画書であり、ロードマップです。経営者の頭の中を言語化、数値化したものです。

比べる対象がなければ、それを達成しようとは考えません。計画値が示されるので、実績と比べたくなるのです。そこで初めて差異を認識します。

差異を認識するから次の一手が必要となるのです。計画値とは達成できたときよりも、達成できなかったときに大きな役割を果たしてくれます。

・計画値VS実績で差異を認識できる仕組み

・売上高や付加価値額を獲りにいく仕組み

これら2つが揃って初めて持続的な成長が可能です。計画値にこだわりを持ったモノづくりです。

 

 

 

 

 

先の経営者は、製販一体会議で自身の意志と意図を右腕役や現場キーパーソンへ浸透させられます。この場でのトップダウンによって、作業者へ経営者の指示事項を徹底させられるのです。その結果、付加価値額を積み上げる多くの機会を手にできます。

経営者は工場のことを気にせず、外に出られるからです。新たな付加価値額を積み上げる機会とは結局、新たな人との出会いの頻度であり、それは結局、確率論と言えます。

外に出る機会を増やせば増やすほど、新たな人との出会いの頻度が増え、それは結局、新たな付加価値額を積み上げる機会に繋がるのです。

製販一体会議で工場のことを現場に任せられるようになった先の経営者は、今後、一層、成長路線に磨きを掛けることでしょう。

次は貴社が挑戦する番です!

 

成長する現場は、付加価値額は獲りに行くものと考えるので市場へ積極的に働きかける

衰退する現場は、付加価値額は外部環境に左右されて決まるものと考えるので待っている