「生産性ロードマップ戦略」—儲かる工場経営を目指して—第392話 儲かる事業モデルになっているか?

 

「収益は安定しています。」

先月、PJに着手した30人規模消費財メーカー経営者の言葉です。

 

PJをスタートさせるにあたって、まずは、現状の立ち位置を明らかにします。

経営者が時間を割かなければならないのは、過去分析ではなく、将来分析です。立ち位置を知るために実績を使います。

そうして将来を見通すのです。実践的な移動累計やABC分析を使います。将来の見通しを立てながら、先の経営者はあることに気付きました。冒頭の言葉です。

ここ10年間、収益を確保できています。利益の多寡があるものの水面上を維持しているのです。業界の人年生産性と比べても優良と判断できます。それには理由があるのです。

 

 

 

 

 

経営者は事業の持続的な成長を望んでいます。

利益アップ給料アップのためです。

一時的な業績アップでベアは確約できません。せいぜい多めのボーナスを支給するくらいです。そして、従業員が人生設計でありがたいと感じるのはベアです。重要な人生設計において、業績に連動して支給されるボーナスはあてにできません。

そこで、ボーナスを生活給として、業績に関わらずに一定規模の賞与を支給することにしている経営者もいます。これは経営者による大事な決断事項です。ただ、これにはメリットとともにデメリットがあります。

したがって、利益アップ給料アップでベアを実現したい経営者にとっては、持続的な事業成長が課題となります。

先の企業の収益は、なるほど長期にわたって安定しています。戦略が優れているのです。

 

 

 

 

収益が安定している中小製造企業は優れた戦略を持っています。

「儲かる事業モデル」です。

儲かる工場経営の要諦はお客様に選ばれる商品、製品、サービスを効率よくつくることにあります。この要諦の注意点は、効率よくつくる前にお客様に選ばれなければならないことです。詰めて、空けても、取り込むものがなければ儲かりません。

 

お客様に選ばれるとは「お客様の要望に応えること」「我が社が儲かる値決めができること」の2つです。儲かる事業モデルとはこの2つを実現できる事業構造となります。

お客様に選ばれる要点はQCDです。ただし、ここで注意点があります。選ばれる理由が「安価」ではダメということです。

少数精鋭の中小の方針にはなりません。これは価格競争戦略を敷く大手の方針です。

私たち中小製造企業は、下記で選ばれるようにしなければ持続的な成長はできないのです。

・圧倒的な仕様、内容の商品、製品、サービス

・圧倒的な納期

お客様の要望にQCDで応え、価値を認めてもらい、我が社が儲かる値決めをしたいのです。

 

 

 

 

 

「我が社が儲かる値決め」というものの、最終的には、お客様が決定権を持っています。既存製品では市場価格、新規製品ではお客様の知覚価値に基づく価格が存在します。

つまり、新規製品であっても100%こちらの希望で価格が決められるわけではないのです。

ただし、圧倒的な仕様、内容の商品、製品、サービスや圧倒的な納期で、お客様の要望に応えられるなら、状況は変わります。

・価格交渉の余地が生まれる。

・市場価格で提供したとき我が社を選んでくれる。

 

経営者が最も辛いのはQCDの決定権を全てお客様に握られている状況です。価格交渉の余地がなく、市場価格で提供しても我が社は選ばれません。

アイミツに晒されます。

お客様は我が社を「複数ある選択肢のひとつ」としか見ていません。我が社が値上げをお願いしようものなら「他にやってもらいますから、結構です。」と言われるのがオチです。

主要なお客様にとって、我が社は、代替がない、唯一無二の存在になっていません。お客様にとって、唯一無二の存在にあるために必要なが戦略であり、儲かる事業モデルです。

 

 

 

 

 

事業の持続的な成長を実現するには、継続的な付加価値額の積み上げが必要です。そこで、儲かる事業モデルが必要となります。圧倒的な仕様、内容の商品、製品、サービスや圧倒的な納期で、下記を実現させるのです。

・価格交渉の余地が生まれる。

・市場価格で提供したとき我が社を選んでくれる。

他社を凌駕する圧倒的なQCDを目指すという経営者の意志や意図が欠かせません。先の企業にはそれがあります。儲かる事業モデルになっているのです。先代の意志と意図の成果です。

 

現場はマスカスタマイゼーションになっています。儲けるには中小でも、一定水準の「規模の経済」原理は必要です。ただ、多品種にも対応しなければお客様の要望に応えられません。

先の企業が扱うのは消費財です。全てのお客様の要望に応えていたら、品種数が膨大に膨れ上がります。少数精鋭の現場では手不足です。規格品と規格品の比率が要点となります。

その企業では、主要なお客様の要望を実現する新商品開発をしています。ABC分析での上位3社です。そこで開発された商品をベースに多品種化し、新たな商品群をつくります。

そして、主要お客様以外のお客様にはその商品群から選んでもらうのです。

 

主要なお客様との商品開発では、価格決定権は当然にお客様にあります。それでも仕様に応じて価格交渉ができています。

お客様は新商品に期待することがあるので、そのお客様の願望を実現する技術に、ある程度のお金を払ってくれるのです。

そうして一見さんのお客様も含めた多数のお客様(お客様コードで300~400)には、開発した商品群の中から選んでもらっています。

主要なお客様に一定水準の多品種対応する一方、その他お客様で規模の経済を活かせているのです。こうした方針、戦略を先代は構築しました。儲かるモデルになっています。

 

 

 

 

 

先の企業は、直販の仕組みは持っていません。商社や問屋卸業をお客様にしています。つまり下請け型のモデルです。

下請け型のモデルでも構いません。儲かる下請けモデルならそれでいいのです。

価値ある仕様、内容の商品を提供することで、価格交渉の余地が生まれ、市場価格で提供したとき我が社を選んでくれるモデルになっています。

これは、自動車部品工場勤務時代と似ている事業モデルです。

当時、自動車会社の下請けとして、足回り部品を提供していました。承認図方式の事業モデルです。その結果、お客様の要望事項に技術で応えた分は技術料で評価いただいていました。

我が社の努力が付加価値額の積み上げに繋がるモデルです。工場でも製品開発、技術開発に経営資源を投入して、持続的な成長を目指していました。

貴社の事業モデルはどうですか?

 

 

 

 

 

儲かる事業モデルがあれば、自ら受注を獲りに行くことができます。経営者は明確な目標を持てるのです。

それがシェアです。事業で持続的な成長を望むのなら、シェア1番を目指します。規模に応じて設定する標的市場が要点です。業界、地域、特定の企業、特定の部門などなど、そこでシェア1番を目指します。

・ある自動車メーカーの特定部品で我が社がシェア1番となる。

・お客様となるある工場の特定部署の依頼事項は全て(100%)やらせてもらう。

前者は自動車部品工場時代、後者は中小管理者時代に実務で設定した目標です。

儲かる事業モデルを手にすれば、自ら獲りに行くことになるので、自然とこうした目標設定になります。

 

業界規模を明らかにして、そこでの目標占有率を設定し、それを目標売上高に設定しているご支援先経営者がいます。これも的を射た目標設定です。

設定した標的市場でシェア1番を目指します。

なぜ、1番を目指さないとだめなのか?ご支援での製販一体戦略で議論をするところです。受注減で痛い状況に直面している経営者ならお分かりになるのではないでしょうか?

 

儲かる事業モデルを構築しようと活動を始めた経営者が気付くことがあります。

外で仕事をしていないと、目的を果たせない。

工場のことは右腕役に任せることになります。したがって、儲かる事業モデルをつくるには、まず経営者が長期に不在でもPDCAを回せるチームが必要になるのです。

そうでないと経営者は社長業に専念できません。

 

 

 

 

 

どんなに工場内の体制が立派でも、受注がなければどうしようもありません。逆なら、なんとかなります。受注さえあれば、現場はそれをこなそうとするのです。

利益アップ、給料アップを言い続けてきた経営者の現場は経営者の想いを分かっています。

スマートなやり方でなくても火事場の馬鹿力を通じて徐々に体制も出来上がるモノです。多くのご支援先でそうした変化に出会っています。

 

戦略が優れていれば戦術が少々劣っていても現場の力でなんとかなるということです。逆では現場も頑張りようがありません優れた戦略は現場を奮い立たせます。

標準に基づいた改善活動も大事ですが、それよりもっと大事なのが儲かる事業モデルの構築です。経営者の仕事です。

 

「儲かる事業モデルには気付いていませんでした。」とは先の経営者の言葉です。

気付いた今、これから、先代が残してくれたモデルに磨きを掛ければいいのです。思い立ったが吉日。弊社は挑戦する経営者の後押しを精一杯やって参ります。

次は貴社が挑戦する番です!

 

成長する現場は、経営者は儲かるモデルづくりで不在にするが現場はなんとかやっている。

衰退する現場は、儲かるモデルづくりがないので、納期だけに振り回されるままである。