「生産性ロードマップ戦略」—儲かる工場経営を目指して—第58話 現場をその気にさせる仕掛けづくり
貴社の生産管理のしくみに「フォローと評価」が組み込まれていますか?
弊社は付加価値額に着目した、生産管理のしくみづくりのご支援しています。
納期のみに焦点を当てた生産管理では儲かりません。
儲かる工場経営のキモのひとつは、付加価値生産性の向上にあると考えているからです。
利益判断に欠かせないのが付加価値額であり、現場の自律性を促す「見える化」の環境整備に必要なのが生産管理体制です。
利益を生むことが事業の目的なので、付加価値額という指標と生産管理という手法を組み合わせます。そうして、生産の流れをつくるのです。
付加価値額と生産管理が、儲かる工場経営のしくみを機能面で支えています。
その先に、改善活動やコア技術の深耕・強化(イノベーション)があるのです。
したがって、生産管理のしくみを抜きにした改善活動や、ましてやコア技術の深耕・強化はあり得ません。
そして、しくみは、現場で自発的に、自然と、回り続けなければ意味がないものです。
経営者や幹部が現場にいなくても、しくみが、しっかり利益を稼いでくれます。
そして、経営者は、現場を離れて、5年先、10年先を見通した戦略をじっくり考えるのです。
しくみを作っているのは、時間と余裕を生み出すためであることを忘れてはいけません。
ですから、仕組みを回すのに、経営者が、現場で常に目を光らせる必要があるとしたら、経営者の仕事は増えるばかりです。
これでは、何のためにしくみを作ったのか分かりません。
経営者が不在でも、自然と、生産の流れができて、利益を生み出せるようにします。
しくみは、現場で、自発的に、自然に、回り続ける必要があるのです。
そうであるなら、しくみ作りで、機能面に加えて、もうひとつ欠かせない論点があります。
欠かせない論点とは、現場をその気にさせることです。
弊社は「工場経営の本質は自分の想いを、他人を通じて実現することにある」と考えています。
経営者の想いを実現させるのためにはこうありたいのです。
そこで、「フォローと評価」をしくみに加えます。
しくみを回し続けるうえで、「フォローと評価」が極めて重要な役割を担っているのです。
現場からやる気を引き出し、その気にさせる3つのポイントがあります。
・自律性
・有能性
・大きな目的
「フォローと評価」は、自律性と有能性と関連します。
フォローとは、進捗把握のことです。
現場の各メンバーは、生産活動に加えて、改善活動などのテーマを抱えながら汗をかいています。
そして、経営者は、生産活動や改善活動の進捗を的確に把握し、進捗に応じたコメントを現場メンバーへ届けるのです。
叱咤激励された現場は、自分たちがトップから期待されていることを実感します。
トップから期待されて、頑張らない現場はありません。
自律性が促されます。
さらに、評価とは、仕事の成果を客観視することです。
経営者が設定した目標に対する現場の成績表となります。
経営者は、利益への貢献度合を評価するのです。
現場は、ある意味で、トップに評価されたがっています。
頑張りの結果が、どうなのか、知りたくなるのは当然のことではないでしょうか?
前向きの評価をもらえれば、自分たちは役に立ったという達成感を得られます。
一方、不本意な評価であったとしても、逆に奮起するはずです。
フォローによって、経営者と現場との間には、強い信頼関係が構築されているからです。
このように、「フォローと評価」をセットでしくみへ組み込みます。
伊藤が大手企業から中小企業の現場へ転職したときに、最も苦労したのは、現場との関係性の構築でした。
中途で入社した管理者が、現場との関係性の構築抜きに、現場で仕事をすることは考えられません。
時間をかけながら、現場との信頼関係を築いていきました。
そして、関係性を築くのに、最も効果があったのが、「フォローと評価」なのです。
セミナーやご相談のなかで、「フォローと評価」に問題があると気付かれる経営者や幹部の方々がいらっしゃいます。
経営者や幹部の方々は多忙です。
多忙故、「フォローと評価」にまで、手が回らないというのが現状です。
しかし、そもそも、なぜ多忙になのか?
多忙な業務の中に、現場の自律性が発揮されると解決できることはありませんか?
忙しい故に、「フォローと評価」がおざなりになって、結果として現場のやる気を引き出せず、一層、多忙になる・・・。
経営者と幹部にしかできない仕事に、「フォローと評価」があることを認識して下さい。
現場の自律性が、経営者や幹部の時間と余裕を生み出してくれるのです。
中小の現場では、多くの若手人財と仕事をしてきました。
皆、一生懸命です。
自分の会社が、少しでも良い会社になることを望んでいます。
現場で話をしながら、強く感じたことです。
そして、若手との会話の中で、しばしば耳にした言葉があります。
「現場に丸投げで、何を言ってもやってくれない」
「話をしてもどうせ無駄だから」
現場は常に前向きです。
特にやる気のある若手人財は頑張っています。
いろいろなアイデアも持っていました。
アイデアを上へ提案したらどうなの?と声を掛けたときに返ってきた言葉が上記です。
これらの言葉から、何か気が付きませんか?
そうです、若手の意欲をしっかり受け止め、評価する仕組みがあれば、若手人財は動いてくれるということです。
若手は動きたいと考えています。
「フォローと評価」をされたいと考えているのです。
ですから、上記のような不満が上がっている現場のポテンシャルは、実は高いのです。
したがって、経営者は、こうした声を、現場改革の機会ととらえることができます。
ですから、しくみに「フォローと評価」を組み込みたいと強く申し上げているのです。
「工場経営の本質は自分の想いを、他人を通じて実現することにある」
儲かる工場経営では、現場をその気にさせる仕掛けをつくります。
機能面から、付加価値額に着目した生産管理体制を構築します。
これに加えて、忘れてならないのは、「フォローと評価」をしくみに組み込むことです。
「フォローと評価」が、儲かる工場経営のキモのひとつであることは間違いありません。
貴社のしくみを確認してください。
「フォローと評価」を組み込んだしくみを作りませんか?