「生産性ロードマップ戦略」—儲かる工場経営を目指して—第81話 現場のベクトルを揃えるために

貴社の現場は一体感に満ちていますか?

 

先日、現場のベクトル合わせに関して、ご相談がありました。

各種工作機械を有する金属加工企業で、職場は旋盤関連、フライス関連等、機能別職場となっています。

その企業の現場は縦割り意識が強く、横のつながり、工程間連携が足りないと経営者は感じていました。

現場の一体感が不足しているとのコメントも出ています。

 

そこで、例えば、具体的には、どのようなときに、そうしたことを感じるのですか?と質問を投げかけました。

先日もですね・・・・と言って、その経営者は説明を始めました。

 

「先日も、加工した部品を納入先工程別に分割して納入して欲しいとの要望が客先からありました。

こうした要望は珍しいことではなく、しばしばあります。

その時も、完成した部品を納入先工程別に分割するよう現場へ指示しました。

ところが指示が徹底されず、各工程の完成部品は。納入先工程別に区分されていたり、されていなかったりという状況でした。

納期の関係もあって結局、一括納入することになってしまいました。

お客様からお叱りを受けたのですが、現場の一人一人が、配慮を持って仕事を進めればできることです。

現場に一体感が足りないと感じています。」

 

 

 

経営者は、常に、5年先、10年先を見通し、今、何をすべきか考えています。

明文化していようと、していまいと、ふわっとしているかもしれませんが、経営者は頭の中に将来構想を描いているものです。

 

したがって、その将来構想と現状を比べて、解消できそうにない大きなギャップがあると、経営者は違和感を感じます。

その経営者も、将来構想へ向かって進むとき、今の仕事のやり方のままでは行き詰まると感じました。

そこで、現場の一体感強化を課題と考えたのです。

 

 

 

弊社は、生産管理の観点から、儲かる工場経営の仕組みづくりをご支援しています。

生産管理の3本柱、品質管理、原価管理、工程管理の手法を駆使した仕組みづくりです。

多品種少量に即した独自の切り口でご支援をしております。

 

このご支援をするにあたって、重視しているのが、まさに「現場の一体感」です。

コンサルティングが成功するか否かは、この「現場の一体感」を醸成できるか否かにかかっていると考えています。

 

そして、現場の一体感というのは、さかのぼれば、ひとりひとりの「やる気」にたどり着きます。

現場のやる気が引き出された結果、醸成されるのが”一体感”なのです。

 

 

 

やらされ感たっぷりの現場では、”健全な”一体感は生まれません。

ですから、弊社で、まず取り掛かるのは、この”健全な”「現場の一体感」の醸成であり、そのためのやる気を引き出す環境整備です。

 

これは、私が中小の現場管理者時代に経験したことに基づいています。

やる気を引き出す環境整備もせずに、大手管理者時代と同じような仕事のやり方をして、業務が行き詰まったのです。

 

しばしば、お伝えしていますが、弊社の理念のひとつに下記があります。

「工場経営の本質は他人を通じて経営者の想いを実現することにある。」

 

これは、「現場の一体感」の醸成を気にせずに、仕事を進めようとしたことから得られた教訓です。

弊社のご支援では、この点を重視しています。

 

 

 

そこで、まず、やることとは、経営者の想いの見える化です。

経営者の想いを見える化すると、自律性、有能性、大きな目的というやる気を引き出す3ポイントに働きかけられます。

 

現場は、経営者が思っているほどには、経営者の頭の中が見えていません。

ですから、経営者はやる気を引き出す3ポイントに働きかけるため、自らの想いを現場へ浸透させる努力を継続する必要があるのです。

 

 

 

 

 

さらに、現場の一体感を醸成する際、忘れてはならないことがあります。

それは、現場の意識改革は、仕事で得られた成果からしか起こり得ないということです。

 

「全員で現場のベクトルを合わせましょう。」「一体感を持ちましょう。」と言われても、できるものではありません。

書籍を読んだり、人の話を聞いくことで起こり得る意識改革の程度は限定的です。

 

一体感という組織文化や組織風土に関係した、えも言われないものを、頭で実践するのは無理であり、皮膚感覚、肌感覚で理解するものだからです。

なんとなくバラバラであった現場が、会社の危機に直面し、それを乗り切ったとき、強い仲間意識が生まれたという話を耳にしたことはないでしょうか?

仕事上の悩みは仕事で解決するしかありません。

 

そこで、弊社では、ご支援のとき、プロジェクト形式でプログラムを進めます。

期限を決め、経営者の想いを踏まえ設定した目標の達成を目指すのです。

 

弊社のご支援は短期決戦であり、短い期間で成果を出すように進めます。

納期が明示されたプロジェクト形式だから、短期間で現場の一体感も強化されるのです。

ここに仕組みづくりのコツがあります。

 

弊社のご支援は、プロジェクト形式で進め、短期に成果を出すことを方針としています。

新たな仕事のやり方で成果を出し、その結果、仲間意識が強化されるきっかけが生まれるのです。

 

1)経営者の想いを見える化すること。

2)プロジェクト形式で実施する業務を設定すること。

これが先の経営者への弊社からの提言です。

仕事を通じ、現場での一体感を強化します。

その結果、現場のベクトルは徐々に揃ってくるのです。

 

ベクトル自体を無理に揃えようとしても無理ですから、現場の一体感を強化したかったら上記の2つを実践してください。

手ごたえを感じることができます。

 

現場に一体感を感じさせる仕組みをつくりませんか?