「生産性ロードマップ戦略」—儲かる工場経営を目指して—第97話 生産性向上に取り組まなければならない理由

人的経営資源の量と質、確保できていますか?

 

弊社は「生産性向上」と「人材育成」を事業の柱に据えています。

「モノづくりとはヒトづくり」

製造業ではしばしば言われていますね。

 

生産性向上の仕組みづくりは当然、重要なことですが、その仕組みを回す人材、特に若手を育成することも同じく大切なことです。

中小製造企業の豊かな発展のために欠かせないのは、この2つであると確信しています。

 

弊社は共感していただける経営者といっしょに、中小製造現場の生産性を高める仕組みづくりや人材育成の仕事をさせていただいております。

中小製造現場の生産性を高めるため、これからも、生産性向上と人材育成の仕組みづくりを車の両輪のように回して参ります。

そこで、こうしたコラムやセミナー、執筆を通じて、やる気を引き出しながら生産性を高める重要性をお伝えしている次第です。

 

 

 

「皆さんには生産性向上に取り組まなければならない理由があります」

セミナーや研修で最初にお伝えしていることです。

 

多くの皆さんは、すでに、生産性向上や改善に取り組んでいることと思います。

しかし、それでもなお、より一層、生産性向上を強化しなければならない理由が皆さんにはあるのです。

 

ご存じのように、生産性は「産出」÷「投入」です。

「経済的に有用な産出」が分子にきます。

生産量や生産金額、利益や付加価値額です。

そして、分母にくるのは「生産要素の投入」となります。

主に投入されるのは生産3要素です。

原材料、設備、人ですね。

そして、中小現場にとって特に重要なのは、人ではないでしょうか?

 

現場へ生産の3要素を投入し、それを経済的に有用な産出へ「変換」するのが生産活動、つまりモノづくりです。

生産性とは、その「変換」効率に他なりません。

 

 

 

昔の経営者も今の経営者も、そして将来の経営者も、変わらずに望むことがあります。

利益の最大化です。

今は、キャッシュフローの考え方が浸透していますから、キャッシュ、お金の最大化とも言えます。

 

そして、お金の最大化には、効率の高い「変換」、つまり高い生産性が求められます。

そうなると、投入すべき経営資源、生産3要素の量も質も問われそうです。

 

おいしい料理には優れた、質のいい材料が欠かせません。

腕の良いシェフの実力が遺憾なく発揮されるにも良い材料は必要です。

弘法、筆を選ばずと言いますが、我々としては、最高品質の筆を使った弘法大師の書画を期待したいです。

 

モノづくりの現場も同様です。

生産性を高めて、産出するお金を最大化したいのならば、投入する経営資源の量だけではなく、質にもこだわらなければなりません。

こうしたことを踏まえると、これから直面する人的資源に関する問題には、しっかりと対応する必要があるのです。

 

 

 

国内の人口はすでに減少モードです。

ピークは2011年頃と言われていますが、1億2,800人程度を最大として、今後、右肩下がりで一方的に減っていくと予想されています。

 

そして、それに伴って少なくなると予測される数値があります。

生産年齢人口、15歳以上64歳以下の人口です。

 

統計資料によれば、2015年に7,600人だった生産年齢人口が、2035年に6,300万人、2055年に3,500万人にまで減少するとされています。

20年後には、ざっくりと20%近く減るわけです。

 

そして、40年後には、半分以下です。

ここまでくると、現場がどうなっていくのか予想もつきませんね。

 

いずれにせよ、今後は、働く候補者の絶対数が少なくなりますし、加えて、少子化で若手の採用もどんどん難しくなります。

量においても、質においても、経営者が望む若手を採用することができなくなるのではないでしょうか?

現場へ投入したい経営資源のうち、人的資源の制約がますます強くなってくるのは火を見るよりも明らかです。

 

経営者は皆さん、事業を成長させたいとの想いを持ち、そのためのシナリオを頭に描いています。

5年先、10年先を見通した成功のシナリオです。

「今はまだ、その時期ではないかもしれないが、機会を見つけて、事業のステージをupさせたい。」と考えています。

 

しかしながら、ここで心配事があるのです。

いよいよ、その時期を迎えたと判断したとき、経営者の期待に応え、現場がロケットスタートできる状態になっているでしょうか?

 

量においても、質においても、経営者の望む若手の採用が困難な中で、現場の体制を維持、成長させられているでしょうか?

経営者の想いを実現させるための、知力、気力、体力、収益力を現場は持ち続けられているでしょうか?

 

今から、手を打たねば、間に合いません。

ですから、今から、準備をする必要があるのです。

 

少数精鋭で筋肉質の現場に変えていきます。

人的資源も含めて、投入すべき経営資源が減っても、お金の最大化を実現できる現場力を構築したいのです。

 

イケイケどんどんでモノを造れば売れる時代もありました。

その当時は、”増産体制”の構築が経営課題であり、投入すべき経営資源も、ある程度自由に獲得できていました。

 

しかし、今は時代が違います。

私たち中小現場が構築すべき体制は”生産性向上体制”なのです。

 

中小現場では、投入すべき経営資源、特に人的資源の不足問題に直面する懸念があります。

これこそが、生産性向上を強化しなければならない理由です。

 

 

 

生産3要素のうち、中小現場にとって重視すべきは人的資源であることは皆さんも異論のないところであると思います。

制限があるとは言え、人的資源の量も質も、豊かな成長には欠かせないポイントです。

 

ですから、限られた人的経営資源を生かす観点が求められます。

加えて、人的経営資源に活躍してもらう視点で、やる気を引き出す3つのポイントも求められことでしょう。

 

限られた経営資源、特に量、質、ともに制約が出てくる人的資源を最大限に生かして、生み出すお金を最大化できる仕組みづくりが、儲かる工場経営の要諦です。

入と出、インプットとアウトプット、生産性の考え方がカギをにぎります。

 

今後、経営資源、特に中小現場にとって最も大切な人的資源の制限がどんどん強くなってきります。

決定的に深刻な問題です。

これが、皆さんの生産性向上に取り組まなければならない理由です。

 

いっしょに生産性向上と人材育成の仕組みをつくりませんか?